2013 Fiscal Year Research-status Report
アフリカツメガエルの卵母細胞を利用した化学センサチップの開発
Project/Area Number |
25870323
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
三澤 宣雄 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, テニュアトラック助教 (70442530)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 化学センサ / アフリカツメガエル卵母細胞 / 化学受容体 / 二電極膜電位固定法 / 細胞アレイ |
Research Abstract |
本研究は細胞と微細加工技術を融合した化学センサチップの開発を目的とし、今年度は細胞を配置するための微小流路(流路断面の幅および高さとも1.5 mmの矩形)と電極(先端幅0.01 mm、高さ0.05 mm、長さ約1 mmの片持ち梁形状)の一体化に注力した。 扱う細胞は化学受容体発現細胞として多用されるアフリカツメガエルの卵母細胞である。細胞形状が直径約1 mmの球形であることから、既報のビーズアレイ技術を応用し、複数の卵母細胞を微小流路内の定位置に配置することに成功した。また、シリコン基板の深堀加工により作製した電極を当該流路内に設置し、卵母細胞の配置と同時に電極が細胞内へ挿入される系も確立した。 アクリル基板の切削加工によって流路となる溝を設け、そのアクリル基板二枚で電極基板を挟み込む構造により、電極一体型流路を作製した。卵母細胞への電極挿入の成否が送液速度に依存したため、電極が細胞内へ確実に挿入される流速を実験的に明らかにした。 今年度はアフリカツメガエルの卵母細胞への外来遺伝子注入による後天的な化学受容体の発現実験は行わず、細胞に内在的に発現している受容体を利用して化学刺激への応答計測を試験し、信号取得に成功した。しかしながら、用量応答の検討には至らず、検出限界の評価は未着手である。数cm角のワンチップに複数の卵母細胞をアレイ化した後、個々の卵母細胞を電極が挿入された状態のまま取り出せる分割可能なチップも新たに試作した。これにより、細胞の個別利用によるユビキタスな化学センシングの可能性を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の達成目標は「細胞搭載型素子の作製」であり、使用予定のアフリカツメガエルの卵母細胞を実際にチップ内に収納でき、膜電位変化の信号取得にも成功したため。しかしながら、細胞への電極挿入のための流速の検討においては細胞が破壊されない程度の上限流速が未確認のため、当初計画以上の進展とは言えないと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度未確認に終わった流速評価を第一に完了させ、次年度以降では化学受容体を発現させた細胞を用いて化学センシングを検討する。発現させる化学受容体として特に嗅覚受容体に着目し、匂いセンシング系の確立につなげたいと考えている。異なる受容体を発現させた複数のアフリカツメガエル卵母細胞を用いることにより、ワンチップで多種類の化学物質検出を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費に関して所属大学内の「平成25年度研究大学強化促進事業にかかる若手研究者支援」に採択され、当該支援を海外出張費に充当し、当初の使用予定額以下の支出となったため。平成25年度に設備備品として購入を予定していた増幅器は現行品に改良すべき点が見つかり、初年度は試験的な使用として運用し、購入には至らなかったため。 当初の計画で計上した増幅器に関して改良が完了し次第、購入する予定である。また、2015年1月末にポルトガルで開催される国際学会MEMS2015への出席を新たに予定し、旅費の執行を行う計画である。
|