2015 Fiscal Year Research-status Report
ダイズ茎葉の成長制御に向けた水チャンネルの作動メカニズムの解明
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25870327
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| Research Institution | Mie University |
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Principal Investigator |
長菅 輝義 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80515677)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ダイズ / 乾物生産 / 土壌水分 / 気温 / 地温 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
１．昨年度と同様に，これまでに得られた研究結果の一部を日本作物学会にて報告した．昨年度はダイズ品種の中でも西日本の基幹品種である ‘フクユタカ’に比較して茎葉がよく繁茂する ‘美里在来’が，湿潤土壌条件下で繁茂がより顕著となることを報告したが，本年度は湿潤土壌条件下での茎葉の繁茂が両品種ともに温度によって制御されること，気温が低いと土壌が湿潤如何に関係なく茎葉が繁茂しないことを確認した．また，上記した前報の研究結果は，日本作物学会紀事に論文報告した．
２．圃場条件下での茎葉の繁茂と子実生産との関係を明確にするため，本研究におけるこれまでのスタンスとは逆に，土壌灌水して茎葉の繁茂を逆に促進させたときの地上部重量と子実収量の変化を解析した．その結果、実験に供試したフクユタカと美里在来で土壌灌水に対する子実収量の応答が異なっており，美里在来では土壌灌水して茎葉の成長が促進され，収穫時の茎重が増加すると子実収量は逆に減少したが，フクユタカでは土壌灌水すると収穫時の茎重と子実収量がともに増加しており，土壌灌水に伴う茎葉の繁茂と子実収量との関係には品種間差があることが示唆された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水チャンネル機能解析用の非破壊解析システムの開発およびそれを用いた茎葉成長制御部位の推定，更には水チャンネルの機能解析を水力学的に行う機器が完成し，当初の想定とは異なる研究シナリオに対応するための研究体制が整ってきた．また，上記した非破壊解析システムの課題であった気温の同時制御にも取り組み特定シーズン限定ながらも気温・地温独立制御が可能となり，水チャンネル機能の非破壊解析システムの精度向上にも成功した．本システムを用いた解析結果は，これまでの研究結果と若干異なるところがあり，更に土耕・水耕栽培で異なる現象がみられることも改めて確認され，研究事例を重ねることの重要性を再確認したが，いずれの栽培方法においても茎葉の成長制御部位が地上部に存在する可能性は該当年度においても確認でき，かつ，個体成長を強く制御するといわれる個葉光合成速度のダイズ茎葉の成長制御における寄与度が必ずしも高くない可能性も間接評価ではあるものの確認でき，地上部の水チャンネルが茎葉の成長制御に重要な役割を果たしていることが少しずつではあるものの明確になってきた．
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| Strategy for Future Research Activity |
温度処理装置の作成に時間がかかり，かつ，秋の短期間しか作動できないなど，昨年度は実験期間の確保に課題を残したことから，本年度は既に装置の作成を開始させており，早めに完成させて十分な実験期間を確保する．植物の成長を制御する主な要因である葉面積と個葉光合成速度の内，ダイズではこれまでの研究から水要因が支配する葉面積が個体成長に及ぼす影響が大きいこと，個葉光合成速度においても葉肉光合成よりも水要因によって支配される気孔伝導度への依存度が大きいであろうことが示唆されたことから，本年度は調査項目に同化箱法による個葉光合成速度も加えて個葉光合成速度における気孔伝導度への依存性をより明確にする．更に，茎葉の成長制御における水チャンネルの重要性を評価するためにプレッシャーチャンバー法による水の通導抵抗の測定も実施し，地上部の水チャンネルが茎葉の繁茂を制御していることを明確にする．
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