2013 Fiscal Year Research-status Report
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25870334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塚本 真輝 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70527879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 力学系 / 平均次元 / 位相的エントロピー / 幾何解析 / 国際情報交換 / イスラエル:ポーランド:イギリス |
Research Abstract |
まず,幾何解析から現れる無限次元力学系の平均次元(力学系のある位相不変量)に関する研究では,4次元のヤン・ミルズゲージ理論から現れる力学系の平均次元の厳密公式を証明できる場合があることを発見した.具体的には,シリンダー上のSU(2)をゲージ群とする反自己双対接続で,曲率の作用素ノルムが一様に抑えられたもの全体のなす力学系を考え,これの平均次元を計算する公式を研究し,結果が得られた.証明が技術的に非常に複雑なため,現在論文として如何にまとめるかを構想中である. 次に平均次元の一般論に関して述べる.平均次元の位相力学系への応用は,10年以上前にZ(整数の成す加法群)作用の場合に優れた理論が構築されていたが,その結果をほかの群作用に拡張する問題は長い間未解決であった.私は共同研究者との共同研究に基づき,従来の結果をZ作用から高ランクのアーベル群作用に拡張することに成功した.具体的には,次の問題に対する平均次元の応用を,一般のアーベル群作用の場合に成し遂げた: (1)力学系が与えられたとき,これを位相的エントロピー(これも力学系のある不変量)が有限の力学系でいくらでも良く近似できるか?(2)位相的エントロピーが無限の力学系が与えられたとき,その距離平均次元を平均次元で表せるか?(3)与えられた力学系をヒルベルトキューブ(無限次元の立方体)上のシフト作用に埋め込めるか? これらの結果を現在,共同研究者たちとの共著論文として執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず幾何解析方面に関しては,当初はかなり困難に思えていたゲージ理論の場合での平均次元の厳密公式を証明するめどが立ったのは大きい成功であった.次に平均次元の一般論に関しても,Z作用でしか証明できておらず,10年以上も未解決だった一般のアーベル群作用への理論の拡張が成し遂げられたのであるから,十分な進展であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
まずここまでの成果をまとめた論文を完成させることが急務である.次に,幾何解析方面の研究に関しては,グロモフによる平均次元とバブル現象との関わりに関する予想の研究にさらに力を注ぎたい.一方,平均次元の一般論に関しては,理論をさらに非可換群に拡張する方向と,また,Z作用の場合でも未解決として残っている問題(周期点をたくさんもつような力学系にまで結果を拡張する)に共同研究者とともに取り組みたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定していた出張において,先方から旅費の援助があったため,旅費が予定よりも低く抑えられたため. 今後もさらに,共同研究等のため旅費や,情報収集として図書の購入が必要になると思われるので,旅費および物品費として使用する.
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