2013 Fiscal Year Research-status Report
水稲によるカリウム獲得様式を解明するための手法の開発と圃場への適用
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25870340
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Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
森塚 直樹 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10554975)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | カリウム / 水田 / 根域土壌 / 非交換態 / 局所施用 |
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| Research Abstract |
2010年から無施肥で水稲を栽培してきた圃場において、水稲植栽区と無植栽区を各2連で設置し、作付け前と作付け後に作土を採取するとともに、水稲収量を測定した。その結果、作土の交換態カリウム含量は、2010年の作付け前の約75 mg/kgから2012年の作付け後の40 mg/kg弱まで減少した。これと連動する形で熱硝酸可溶性非交換態カリウム含量も同期間に約300 mg/kgから約240 mg/kgに減少したが、水稲の粗籾収量は維持されていた。また植栽区と無植栽区では作土のカリウム含量に違いが見られなかった。
さらに2012年には水稲の作付け期間中とその後の非作付け期間中に経時的に根域土壌と植物体地上部あるいは残渣圏土壌を採取した。分析の結果、水稲によるカリウム吸収に伴って、土壌中の交換態カリウムだけでなく熱硝酸可溶性非交換態カリウムも減少すること、さらにそれらの減少は穂揃い期に最大に達し、その後は増加に転じることが明らかとなった。穂揃い期以降に見られた根域土壌のカリウム含量の回復は、植物によるカリウム吸収速度の減少に伴う固液平衡の変化あるいは根からのカリウム放出によると推測されるが、いずれにせよ非作付け期間には植栽区と無植栽区での作土のカリウム含量が変わらないことの一因であると考えられた。
2013年には株あたりの肥料の施用量を一定に制御した局所施肥効果をポット試験と圃場試験によって評価した。尿素と塩化カリウムの被覆肥料を組み合わせた試験を行った結果、ポット試験での水稲の生育量は穂ばらみ期と成熟期ともにK単用区＞N＋K混合区≧N単用区と無施肥区であったのに対して、圃場試験での生育量は穂ばらみ期には施肥区＞無施肥区、成熟期にはN単用区＞N＋K混合区＞K単用区と無施肥区となった。今後、植物体に加えて根域土壌と灌漑水の分析を進めていく予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
供試圃場では、作土のカリウム含量の圃場内変異が大きいため、当初計画していた植栽区と無植栽区の差し引き法によるカリウム獲得様式の評価はかなりの推定誤差を伴うことが明らかとなった。そのため当初計画していたカリウム獲得様式の評価は閉鎖系のポット試験で行った。同時に、カリウム含量の圃場内変異が生じる要因を明らかにする必要があると考えられた。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は、2013年度の栽培試験の結果を踏まえて、食用米よりも地上部乾物重とカリウム吸収量が大きく、さらにカリウム吸収量が最大の時に収穫される発酵粗飼料用稲（ミナミユタカ、クサノホシ、たちすずか）を試験に供試して、カリウムと窒素の施用効果を昨年度と同様に評価する。さらに、テトラフェニルホウ酸ナトリウムを用いて土壌中の難溶性カリウムを段階的に抽出できる簡易評価法を開発して、これまでに採取してきた多点数の試料に活用したいと考えている。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に購入する予定だったタングステン乳鉢や消耗品類は、住友財団環境研究助成という別の助成によって購入することができたため、次年度使用額が約60万円となった。
テトラフェニルホウ酸ナトリウムを用いた土壌中の難溶性カリウムの測定には、通常は原子吸光光度計を使用するが、生成したテトラフェニルホウ酸カリウムの沈殿の濁度を分光光度計によって測定することも可能であると考えられる。しかし土壌粒子の混在する条件で沈殿の濁度を測定した事例はない。そこで、当初計画していた内容に加えて、濁度の測定が可能な分光光度計を1台購入することを検討している。
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Research Products
(1 results)
