2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 岳 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60378883)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 倭寇 / 明朝 / 中国 / ヴェトナム / ポルトガル / 海賊 / 東アジア / 16世紀 |
Research Abstract |
25年度の実績について、以下、文献調査、現地調査、情報発信に分けて記述する。 まず、文献調査に関しては、主として浙江・福建に関する地方志および明人の文集を読み込んで、16世紀東南沿海地方の海賊問題、および地理情報に関する基礎的な情報の収集を行った。東京国立公文書館・史料編纂所・天理図書館・マカオ大学で資料調査を行い、本研究に不可欠な史料の閲読・写真撮影を果たすことができた。 次に、現地調査については、マカオ・厦門・金門で16世紀以来の港湾、および海外華僑の出身地に関する現地調査を行い、中国海洋史上重要と考えられるいくつかの地点の地勢的条件、歴史的景観への理解を深めることができた。 さらに、情報発信については、研究計画に従って明朝官軍と海賊との人員の流動性を主題とした研究を進めた結果、16世紀前半期に明朝中央で議論されたヴェトナム征討論と福建人の東南アジア海域への進出を関連づけ、海外学術誌向けに英語論文をまとめることができた。このほか、4月に東京大学史料編纂所のシンポジウムで報告を行い、前年の江南現地調査の成果を含めたこれまでの研究成果を発表した。報告内容は年度末3月発行の同所紀要に掲載された。また、6月にはマカオで開かれた国際学会で、16世紀中国のマラッカ・ポルトガル観に関する報告を、12月には、厦門大学において、同時期の福建地方の海禁と法治問題に関する報告を、1月には人文科学研究所の日韓共同シンポジウムで中国海域の海賊問題に関する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、図書館における資料調査、および関連史跡の現地調査について、研究計画の時点で想定していたすべてを実行することはできなかった。しかし、相当数の機関で、本研究に不可欠な史料の閲読・写真撮影を果たし、マカオ等での現地調査により、海洋史上における地勢的条件、歴史的景観への理解を深めることで、当初想定していた以上の収穫を得ることができた。また、マカオでの報告、ならびに英語論文の公刊により、一定の成果を国外にも向けて発信しえたと信じる。また、史料編纂所や人文研の一般にも開放された国際シンポジウムで報告することで、社会的発信という点でも貢献を果たしえた。このため、当初の計画とは若干のずれがあることは否定できないものの、全体としてはおおむね順調に研究を遂行することができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度以降も、軍制機構・漁民社会・農村問題を主題として、関連する文献の網羅的収集、地理情報の整理、史跡の現地調査等を遂行する方針に変化はない。26年度にも学会やシンポジウム等での報告が予定されており、それらの機会を借りて、研究成果を適宜口頭発信していく。また、五年後をめどに研究成果をまとめて単著として出版することを目標に定め、研究全体の明確な構想を立て、計画的に論文を作成してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、資料収集のための出張を控え、収集資料の分析と情報発信に力を注いだため、旅費の支出が計画に比して少額にとどまった。 本研究に関連する電子情報、とくに地理の保存・整理・発信の効率を向上させるため、デスクトップ型パソコン、およびその他の周辺機器を購入する。
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Research Products
(6 results)