2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870354
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 誠 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (40572376)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オートファジー / 細胞内徐放 / 細胞内浄化作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞内のタンパク質分解を人為的に誘導し、細胞の老化抑制技術を開発することである。そのために、細胞内タンパク質分解機構であるオートファジーに着目し、誘導因子の濃度、および作用期間を変化させる徐放技術を開発することで、オートファジーの誘導制御技術を確立する。平成25年度には、オートファジー誘導因子徐放のための生体吸収性ゼラチンハイドロゲルを創製し、in vitro、およびin vivoにおいて、徐放基材を用いた時のオートファジー誘導性を評価した。すなわち、オートファジー誘導剤であるラパマイシンとポリ乳酸を導入したゼラチン誘導体とを用いて、ラパマイシン内包ハイドロゲルナノ粒子(Rapa-Gltn NS)を作製した。作製したRapa-Gltn NSをヒト肝がん細胞株であるHepG2の培養液に添加したところ、Rapa-Gltn NSはHepG2に取り込まれ、lysosomeに集積することがわかった。また、Rapa-Gltn NSを取り込んだ細胞では、1週間にわたってオートファジーが誘導され、タンパク質合成は阻害されていなかった。さらに、プロテアソーム阻害剤で刺激した細胞にRapa-Gltn NSを取り込ませた結果、ユビキチン化された異常タンパク質の蓄積が抑制された。次に、Rapa-Gltn NSをマウスの大腿に筋肉内注射し、Rapa-Gltn NSのin vivoにおけるオートファジー誘導能を観察したところ、1週間にわたってオートファジーが誘導されることが示された。これらの結果より、細胞に取り込まれたRapa-Gltn NSがlysosome内で分解されることでラパマイシンが徐放され、1週間にわたってオートファジーが誘導される可能性が示された。これまでオートファジーは、老化が原因となる疾患における現象として報告されてきた。しかし、徐放基材を用いることで、オートファジーを疾患治療に応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書には、平成25年度にA. オートファジーの誘導剤徐放基材の作製、およびB. オートファジー誘導因子徐放基材によるオートファジー誘導能の評価を、平成26年度にC. 動物体内におけるオートファジー誘導能の評価を計画、記載した。しかし、当初の計画より順調に研究が進み、平成25年度内には、上記A、Bの評価を終え、Cに取りかかることが出来た。したがって、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、オートファジーの誘導剤徐放基材の作製、およびin vitro、およびin vivoにおける徐放基材を用いたオートファジー誘導効果を評価した。平成26年度においては、Secescence Accelerated Mouse (SAM)に投与することで、細胞老化に起因する神経変性疾患(老化アミロイドーシス)の抑制効果を、組織学的、および生化学的手法を用いて調べる。しかし、動物の体内の中でも、組織によってハイドロゲルの分解速度や誘導因子の徐放動態などが異なる可能性が予想される。そこで、生体内においてオートファジーの人為的な誘導に最適なゼラチンハイドロゲルを創製する。具体的には、ゼラチンの化学的性質、およびハイドロゲルの分解性を変化させることで、動物の体内でのオートファジー誘導に適したハイドロゲルを再設計する。
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