2015 Fiscal Year Annual Research Report
世界の脱物質化社会構築に向けた基礎物質ストック・フロー推計に関する研究
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25870361
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
河瀬 玲奈 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, その他部局等, 研究員 (90378852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エネルギー集約型素材 / 低炭素社会 / マテリアルストック・フローモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
低炭素社会の構築には、エネルギー集約型産業である鉄鋼部門からのCO2排出量削減が不可欠である。本研究では、世界全域を対象に社会を構成するエネルギー集約型素材のストック・フローの定量的なモデル化とそれに基づいた脱物質化社会構築に向けた政策オプションの定量的な検討を行った。世界の地域区分は35地域であり、推計期間は2005年から2050年までである。モデル化においては、社会における物質需要は、その物質を含む財ストックが生み出すサービスに対する需要に起因するとの概念に基づき、サービス需要の発生から素材需要まで一貫した推計にて扱った。世界の生産分配については、貿易シナリオ、生産量を決定する因子の条件の組み合わせ、また、スクラップの質や量の制約を考慮して、地域別および製鋼法別に生産量を決定し、CO2排出量を推計した。 その結果、次の知見を得た。 1)サービス需要の増加に伴い、社会における鉄鋼ストック量は最大2.3倍になるが、対策を取ることにより1.8倍にまで抑制することが可能となる。この鉄鋼ストック量を整備するために必要となる鉄鋼需要量は、対策を最大限導入したケースであっても現状と比較して増加し、その幅は、17.5~26億トンである。 2)鉄鋼需要量の削減に最も寄与する対策は財ストックの効率改善であり、削減量の62%を占める。財別では機械類、地域別では中国の寄与が大きい。 3)鉄鋼部門からのCO2排出量削減ポテンシャルは、供給側および需要側の制約を考慮すると2005年比6%に留まり、大幅削減のためにはさらなる対策の検討が必要である。
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Research Products
(5 results)