2013 Fiscal Year Research-status Report
NMR法によるArfファミリー低分子量G蛋白質構造変換機構の解析
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25870372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡村 英保 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (50620928)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ダイナミクス |
Research Abstract |
当研究課題で用いるタバコ由来Arl8サンプルについて、以前は大腸菌大量発現系にて、調整を行っていたが、所属研究室の独自技術である無細胞発現系はより自由度が高く柔軟な安定同位体ラベル調整をすることが期待できることから、この無細胞発現系にてサンプル調整を試み、以前と同様に調整できること、そして緩和測定データの再現性をとることに成功した。また、今後、Arl8サンプルのダイナミクスを解析するに当たって計算科学的手法との連携を予定しているが、そのためには精密な構造情報が必要となる。しかしながら、用いているタバコ由来Arl8については一部のNMRシグナルが消失していることから、困難が予想される。そこで、ヒト由来Arfサンプルについても無細胞発現系にて調整の試みを開始した。ヒト由来のものはヒトそのものの重要性に加えて、機能解析、構造解析ともに、タバコ由来のものより進んでいるため、緩和解析によりダイナミクス情報が明らかになれば、よりインパクトの高い結果が期待できる。 近年、分子混雑状態など、より実際の細胞環境に近い状態でのダイナミクス情報を得ることが求められている。そこで、新たに溶液中での近隣蛋白質との蛋白質-蛋白質相互作用を考慮した、緩和解析手法を開発した。今後、これを本研究課題に応用することで、分子混雑環境でのより精密な解析を行うことが可能になり、Arl8構造変換機構の全く新規な動的情報が得られるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は研究室を移動したこともあり、サンプル調整やNMRデータの再現性の確認などの準備作業に思ったよりも、時間がかかってしまい、当初に予定していた実験が未だ行えていない。しかしながら、そのような準備作業に関してはようやくめどが立ち、今後は予定していた実験を行うことが可能になると期待できる。一方で、自らで新たに蛋白質ダイナミクス解析に関する手法開発を行い、これは予想を超えた進捗で、今後、本研究課題への貢献が大きく期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
所属研究室のもつ無細胞技術、自らで新たに開発したNMR緩和解析技術は他にないオリジナルなものである。今後、これらを積極的に使用することで、本研究課題に対して、オリジナル性の高い研究アプローチが行えると思われる。また、近年のin-cell NMRに代表される、より実際の細胞環境に近い状態での観測をという要請も、視野に入れつつ本研究課題を遂行していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究室移動に伴い、サンプル調整やデータの再現性の確認を行っており、当初の実験の予定に未実施のものがあるため。 サンプル調整準備等の環境が整いつつあるため、予定していた実験を順次進めていく。同時に、得られた研究成果の研究発表を行っていく。
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