2014 Fiscal Year Research-status Report
NMR法によるArfファミリー低分子量G蛋白質構造変換機構の解析
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25870372
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡村 英保 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (50620928)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題ではArfファミリー低分子量G蛋白質の構造変換分子機構を解明することを目的としている。平成26年度は、所属研究室の独自技術である無細胞発現系を利用することで、既に調整に成功済みのタバコ由来Arl8サンプルに加えて、ヒト由来Arl8サンプルを調整することに成功した。そして、調整したサンプルのGTPase活性(GTP型構造からGDP型構造へ)をNMRでモニタリングすることに成功した。さらに、そのヒト由来Arl8サンプルのNMR緩和データの取得を試みている。タバコ由来Arl8サンプルのデータと比較することで、これらの構造変換機構の理解が進むことが期待できる。これまで、Arl8サンプル単独ではヒト由来のものはタバコ由来のものに比べてGTPase活性が小さいことが確認できている。 蛋白質の実際に働く細胞内は数百mg/ml 濃度程度の分子混雑環境にある。蛋白質の動態はそのような分子混雑環境に影響を大きく受けることが予想されるが、現在、このような環境下での蛋白質物性を詳細に調べる実験手法はほとんど存在していない。そこで、本研究代表者はこのような分子混雑環境下に適用可能なNMR緩和解析手法を開発した。平成26年度は、この解析手法をモデル蛋白質に適用することで方法の妥当性の検証を行った。平成27年度は、この手法を調整したヒトもしくはタバコ由来Arl8サンプルに適用することで、分子混雑環境下での動態解析も試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題スタート時点で所属研究機関を移動したことで、研究環境に変化が生じた。また、本研究課題にとっても有用である、自らで行っている新規の蛋白質ダイナミクス(NMR緩和)解析手法開発に予想外の大きな進展があったことなどから、当初の研究計画に変更が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
自らで開発した新規の蛋白質ダイナミクス解析手法は、より実際の細胞環境に近い状態での蛋白質ダイナミクス情報を得る他にはないオリジナルなものである。また、所属研究室は独自の無細胞蛋白質合成技術を有する。これらを本研究課題にも積極的に適応することで、オリジナル性の高い研究アプローチを行っていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題スタート時点で所属研究機関の移動のあったこと、また、自らで行っている新規の蛋白質ダイナミクス解析手法開発に予想外の大きな進展があったことで、当初の研究計画に変更が生じている。そのために、予定していた試薬等の消耗品購入、海外学会での発表、論文発表を行わなかったために、未使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に遂行する本研究課題の実験のために使用する試薬等の消耗品の購入や、学会、論文発表等における経費に充てる。
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