2013 Fiscal Year Research-status Report
血管壁の粘弾性特性が壁面せん断応力に与える影響のバイオメカニクス的解析
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25870385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
福井 智宏 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (00451542)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脈波伝播 / 粘弾性特性 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
脈波伝播現象の数値シミュレーションを実現させるため,血液流れ(流体)と血管壁(固体)との連成問題を再現する方法を考案した.その際,今後の医工連携への発展等を考慮し,医用画像データの出力形式との相性の良い,完全オイラー型による数値的表現を試みた.固体界面の表現には,当研究グループが提案する仮想流束法を用い,生体組織の粘弾性特性を表現するために,組織のひずみ速度に関連する線形パラメータを付加する簡易的なモデルを考えた.仮想流束法による物体界面の表現方法は,immersed-boundary法や仮想境界法に代表されるような手法と違い,外力項を付加する必要がないため,界面近傍における圧力分布も鋭くとらえることが可能である.流体力による物体界面の受動的な運動を評価するために、弁膜を有する大動脈内流れの解析を行い,デカルト格子上における移動界面を伴う任意形状の表現の適性を確認した. ゴムチューブによる模擬血管を用いた水槽実験装置の開発にあたり,流速波形を取得するためのPIV法ならびに,得られた脈波波形を前進波と後退波とに分離する手法の検討を行った.脈波解析には,water-hammer式による1次元理論を適用した.これにより,測定部位ならびに測定時刻が同一の流速波形,圧力波形を実験的に取得することにより,脈波波形を前進圧縮波・前進膨張波ならびに後退圧縮波・後退膨張波の4種に分離することが可能である.また,wave-intensity解析へと拡張することにより,血管の粘弾性特性に起因するエネルギー散逸を見積もることもできる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーションにおいては,物体界面を適切に表現することが可能である仮想流束法を用いることにより,弁膜を有する血液流れの流体-固体連成解析を通してその妥当性の検討を行ってきた.今後は,血管の粘弾性特性の数値的記述方法の考察が必要となる. 水槽実験においては,データの取得からその解析方法の基礎的な考察を行ってきた.今後は大型の水槽実験装置を開発し,実際に脈波波形の計測ならびに解析を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
脈波伝播解析の方法として,オイラー型統一解法を進める一方で,ALE定式化による非構造格子からのアプローチも考える.この場合は,血管壁を有限要素法、血液を有限体積法により解く予定である.これにより,脈波伝播現象を再現する上での適切な数値シミュレーション法の考察を進める. 大型の水素医実験装置の開発にあたり,血管を模擬したゴムチューブの圧力波形を測定するための計測部,ポンプから任意の拍動流を発生させるための制御部を構築する.また,それらのデータの取得ならびに解析を行うための解析部を完成させる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,実験・実習棟の取り壊しに伴う研究室の大規模な引越しがあり,大型水槽実験装置の開発を見送り,数値シミュレーション法の開発ならびに実験データの取得,解析手法の検討を行ってきた. 平成26年度に,これらの開発を順次進めていく予定である.
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Research Products
(4 results)