2014 Fiscal Year Research-status Report
自動車運転中の技能と感情傾向の「見える化」を通じた安全教育の開発
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25870390
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 宏 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (90583526)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 交通安全教育 / 自己理解 / ストレス / ドライブレコーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自動車ドライバーを対象とした有効性の高い交通安全教育手法の構築を目指す。まず「運転行動を安全側へ変容させるためには、自身の不十分な点に気付いてもらう必要がある」との前提に立つ。そこで教育内容としては、事故の運転技能および運転中に生じる感情傾向について自己理解を高めるものとする。 本年度においては、バス乗務員役300名を対象に行った質問紙調査の結果を分析し、バス乗務員が業務中に経験するストレスは「他車の不安全行動に対する怒り」、「乗客からの苦情に対する苛立ち」、「定時運行への焦り」、「事故不安」、「乗車行為に対する苛立ち」、「乗車モラルに対する怒り」の6因子に分類され、その影響は「注意力」、「接客対応」、「車両操作」、「他者関係」の4側面に及ぶことを明らかにした。これらの結果から、自身の怒りや焦りといった感情傾向を他者との比較によって自己認識を促す教材を試作し、約60名に対して試験的教育を実施した。次年度は、この教育の効果検証を行うと同時に、普及・展開を目指す。 また、普段の運転行動そのものの自己理解を促すため、ドライブレコーダを用いた教育を実施する準備を進めた。免許取得後、ある程度の経験を積むにつれ、自動車運転中の認知や判断、動作は自動化され、自身の行動を客観視することが難しいと考えられる。しかし一方で、ドライブレコーダに記録された自身の運転の様子や車両データを、常に見返すことは時間的な制約がある。そこで、通り慣れた道路を走行する際、どのような箇所や対象に注意を払っているかを簡便的に「見える化」するための実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象のバス事業者より、当初の想定以上のご協力を得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
道路上には一般ドライバーと職業ドライバーが混在するため、交通安全教育は双方を対象に実施する必要がある。本研究でも、両方を視野に入れつつ計画・進行しているが、事業者からのご支援を受けているため、必要資料のご提供および個人情報の扱いなどについて、職業ドライバーのほうがデータを収集しやすい状態である。そのため、次年度も、事業用s自動車の安全へ重点を置きつつ、自己理解に焦点を当てた安全教育の開発を進めす。また、研究代表者の異動により、バス事業者以外での調査を展開する可能性が見込まれる。
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Causes of Carryover |
年度末に、発注した一部の物品および図書が品切により調達できなかったが、概ね計画通りの使用であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰越額は少額のため、特段の考慮はしない。
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