2013 Fiscal Year Research-status Report
自然画像を自由にみるときに特異的な視覚情報処理過程の抽出
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25870405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山根 ゆか子 大阪大学, 生命機能研究科, 特任講師(常勤) (70565043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚情報処理 / 眼球運動 / 高次視覚野 / 低次視覚野 / 神経細胞の発火 / 物体認知 |
Research Abstract |
日々の生活で、我々が物体を認識するとき、ほとんどの場合、その物体は遠くにある他の物体等の背景の中にある。また我々はサッケード眼球運動と注視を繰り返し、その中で物体の認識が成立する。しかしこれまでの多くの生理、心理実験では、実験環境をコントロールする目的で実際に我々が物体を認識する際の状況とはかけ離れた条件で、実験が行われてきた。例えば、被験者はある一点を固視することを求められ、均一な背景に視覚刺激が提示される。このような状況では観察され得なかった物体認知の情報処理機構を抽出するため、本研究では自由な眼球運動を許した状態で、複雑な背景の上に物体が表示される視覚刺激を用いて神経活動を記録することとした。 本年度は 眼球運動と背景のある視覚刺激がどのように物体認知の情報処理に関わるのか解明するための実験システムの構築と実験動物の準備を行った。また、既にセットアップの済んでいる実験システムにおいて、いくつかの心理物理学実験と、生理学実験を行った。心理物理学実験では、複雑な背景や単純な背景のある視覚刺激を用いて、自由視課題および探索課題中のヒトの眼球運動を計測し、どのような要因が注視する場所の選択に影響を与えているのか調べた。その結果、どちらの課題においても、画像自体の性質(顕著製等)よりも、その物体が画像の中心にあるかどうか(偏心度)の方が強い影響を与えることが分かった。生理学実験では、単純な背景や複雑な背景のある視覚刺激を用いて鎮痛不動化下の実験動物の高次視覚野から神経活動を記録した。その結果、物体像への強い応答がみられる神経細胞では、背景の変化の影響が少ないことが分かった。また、これらの実験を行うことにより、、覚醒下の動物での実験に用いる視覚刺激の最適化の検討、記録システムのチェック、使用するアレイ電極の仕様の比較、解析法プログラムの開発を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初25年度として計画していた以下の作業はおおむね済んだ。 1)実験システムのセットアップ。眼球運動を記録し、実際に入力された視覚刺激と同等のアニメーションを作成、提示できるよう準備した。 2)動物の手術と注視課題の訓練。 加えて、鎮痛不動化下の動物から記録をとり、視覚刺激(アニメーションを含む)と電極の評価実験を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね予定通り計画していた実験準備は整った。使用するアレイ電極について、予備実験の結果、当初予定していたものと異なる種類の電極の方が実験の成功率が高まるかもしれないので、それについて、今年度引き続き再検討する。最適なアレイ電極を決定した後、まずは課題遂行中の覚醒動物の低次視覚野(V1)からまず記録を開始し、その後高次視覚野(IT)にチャレンジする。うまく記録がとれることが確認された後、2匹目の動物の手術を行い、課題訓練を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度では、RA適任者が見つからなかったためその分の支出がなかった。また、データ解析に必要と考え今年度計画していたパソコンの購入はまだ必要がなかったので見送った。そのため残高が生じたが、代わりに、電極等の消耗品が当初予定していたよりも多く必要であったので、支出全体としては請求額の85%ほどになった。 26年度にはほぼ当初予定していた通りの物品購入と電極等の消耗品の購入を予定している。また解析用パソコンの購入も予定している。
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