2013 Fiscal Year Research-status Report
SPECT脳画像に基づくin silico疾患判別に関する研究
Project/Area Number |
25870406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 晃典 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70437309)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 画像の識別 / データマイニング / 画像診断 / 知識の発見 |
Research Abstract |
局所脳血流量や代謝を調べる方法として、single photon emission computed tomography(SPECT)があり、脳血流量の低下を伴う疾患の早期診断に用いられている。得られた画像を視覚的に評価、診断する際の問題点として、読影者の経験による正診率の相違や、画像の表示方法による視覚的な印象の変化などがあるため、より客観的な情報を提示することが重要である。コンピュータを利用した統計的な解析も様々に研究、開発が進められている。しかし、類似の症状を示す疾患間を判別することは未だ困難な試みの一つである。そこで本研究では、過去の確定診断画像例における血流低下情報を基に疾患判別予測などを行い、SPECT画像診断時の情報支援につながる予測モデルの構築を大きな目的とする。 初年度は、多変量解析やデータマイニング手法を解析手法として、また変数選択法や変数圧縮法をデータセットの前処理として検討を行った。疾患判別には非線形support vector machine (SVM) を用いた。疾患画像データセットに対する前処理として、二疾患群間での局所脳血流量間の差が有意な座標点の選抜、脳機能部位に従ったグルーピング、クロスバリデーション評価を指標にした変数の逐次選択などにより、予測モデルの構築、及び予測性能を評価した。構築された予測モデルの予測性能を評価したところ、一定の正答率を得ることができた。今後は冗長な変数の削減、及び変数のグルーピングと代表値の選出に関する有用な手法を明らかにする等、予測モデルの改良に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、二疾患(アルツハイマー病とパーキンソン病)について、両者を判別する予測モデルをSVMにより作成し、前処理などを比較検討した。 具体的には、脳機能部位単位に分け、特に処理をせず、部位単位にモデルへの利用の有無を選択した場合、部位単位でクラスタリングを行い、変数圧縮を行った上でモデルへの利用の有無を選択した場合、部位単位ではなく全体でクラスタリングを行い、変数圧縮を行った上でモデルへ適用した場合などで、それぞれ予測モデルを構築し、その予測性能評価を行った。その結果、利用の有無の選択時に Akaike's Information Criterion (AIC) を選択指標として使用した際、cross validationによる正答率を選択指標とした場合よりも比較的過学習が抑えられた。また、クラスタリングによる変数圧縮は、予測性能へはほぼ影響せず、圧縮により計算が効率化された。従って、選択指標としてはAICのように予測モデルの自由度の高さを考慮するものが有用であること、また、クラスタリングのような変数圧縮の方法での効率化も可能であることが示唆された。当初計画通り、脳機能部位単位での利用選択、その選択指標、そして変数圧縮等の前処理の有用性について比較検討を行い、一定の結果を得たため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、3次元空間上の位置情報を解析に組み込むことでの予測性能への影響の評価を検討する。SPECT脳画像の同一座標点における脳血流量に比例する数値情報を比較することで症例間の違いを判別することを検討した。しかしこの場合、本来三次元構造を持つ座標点の位置関係を無視しており、情報が損失している可能性があり、その点を考慮することで予測性能が変わる可能性がある。 また、初年度は、アルツハイマー病とパーキンソン病という、一般には症状的な面での判別がつき易いとされる二疾患群の判別を行った。これは、健常者と患者という二群の判別と比較するとより難しいであろう両群とも患者という判別であることや、症例数の多さから選択した二疾患であった。しかし初年度に十分な結果を得たことから、他疾患間の判別にも利用可能かどうか検討することも行う。これは本研究の意義をより深めるものと期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なる結果となった。 なお、執行額が既に超過した『その他』については、ソフトウェアは全て『物品費』として計上されると考え見込み額を計画したが、実際は昨今増えているダウンロード形式のソフトウェアは『その他』として計上されるという、費目についての認識の間違いによるものであるため、研究実施の計画として問題があるわけではない。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進める予定である。
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