2014 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国におけるジェンダー格差が母子の健康に与える影響
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25870416
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
神谷 祐介 龍谷大学, 経済学部, 講師 (30636072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジェンダー格差 / 母子保健 / ラオス / 子どもの貧困 / 生活時間配分 / 食事・栄養摂取 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、開発途上国におけるジェンダー格差と母子の健康との関連性について、ラオスを事例に検証した。2013年度は、ラオス全国にて2007年に実施された大規模消費・生活実態調査(Lao Expenditure & Consumption Survey 4)の個票データを入手・分析し、子どもの貧困とジェンダー格差の現状について明らかにした。約2万人の18歳未満の子どもの栄養・健康、生活時間、教育の状況について、世帯所得や親の属性別の男女間の差異を検証した結果、低所得層の子どもは、高所得層と比べて肉・魚・果物の摂取量が少ない一方、米と野菜の摂取量が多いこと、賃金・家事労働時間が長い一方、学校で過ごす時間が短く、かつ、これらの傾向は女子ほど強いことが明らかとなった。2014年度は、2011年に実施された社会指標調査(Lao Social Indicator Survey)の個票データを入手・分析し、夫婦間のジェンダー格差が、妻の母子保健サービスの利用や育児に影響を与えているどうかの実証分析を行った。そうした二次データ分析の結果を用いて、2014年8月~9月には、ラオス国立公衆衛生院を現地協力研究機関とし、首都ビエンチャン市近郊の4つの農村にて、幼い子どもを持つ夫婦の住む約200世帯を対象に、質問票、経済実験、身体測定の3つの柱から成るフィールド調査を実施した。質問票では、基本的な社会・経済属性に始まり、女性のエンパワーメント、家事・育児、各世帯員の社会的ネットワーク、栄養摂取、生活時間、健康希求行動といった詳細な質問項目を含めた。これらの調査より、対象農村では、夫婦間、また、子どもの男女間において、既存研究では十分に明らかになっていない、多次元的なジェンダー格差が存在することが確認された。
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