2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
久保田 裕之 日本大学, 文理学部, 准教授 (40585808)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホームシェア / 居住福祉 / 高齢者の孤立 / 若者の貧困 / 世代間交流 |
Research Abstract |
初年度である25年度は、当初の計画通り1)7月にイギリス・オックスフォードで開催された「世界ホームシェア会議」に参加し、予想よりも遙かに多くの国から参加したホームシェア関連の事業者と情報交換し、議論を行うことができた。とりわけ、NPO等の事業者の仲介なしに数万ケースの自発的なホームシェアが運営されるアメリカ合衆国からの参加者とのインタビューからは、「なぜEUでは全く広がらないのか」という観点からの話も聞くことができた。ロンドンでの事業者・居住者双方への聞き取りと併せて、アングロサクソンのシェア文化との差違が浮き彫りになったといえる。 また、2)EU各国でのホームシェア事業者の違いが、各国の法制度や文化の違いに起因していることを詳細に明らかにすることができた。この点は、ホームシェア居住者のプライバシー保護の観点から、当初予想していたよりも居住者へのインタビューが難しく、聞き取りの重点を事業者へとシフトせざるを得なかったこととも関連している。 さらに、3)春期調査では調査地をベルギーとドイツに変更したことで、ホームシェアに関するアングロサクソンモデルとラテンモデルの間に、ゲルマンモデルとでも言うべき中間形態が存在する可能性が明らかになった。イギリスやアメリカほど自発的ではないが、フランスやスペインほど事業者に頼らないこうした形態は、日本でのホームシェア事業に多くの示唆を与えると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画から比べて、調査地や調査時期の変更はあったものの、文献研究や海外調査研究は現在までのところ、おおむね順調に進んでいる。ただし、世界会議での成果を踏まえて、調査地を変更し新たにドイツとベルギーの比較を取り入れたため、予定していた調査の一部と研究報告を26年度に繰り越すことになっ点など、若干の修正が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今度の研究については、25年度の成果をもって、複数学会大会で研究報告を行うとともに、9月に秋期の追跡調査(EU)を行う。その上で、国内のホームシェア事業者へのブリーフィングと意見交換を経て、最終的な研究報告書を執筆する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
秋期調査が調査対象者の都合で困難になり26年度に回さざるを得なくなったことと、調査・情報収集のためのPC関連備品および文献収集のための図書費が予定よりも多く必要になったため。 25年度から延期した秋期のEU調査(追跡調査)を行う。
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