2013 Fiscal Year Research-status Report
メラノサイトの光受容機序を探る~光受容タンパク質の作用~
Project/Area Number |
25870427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤井 美樹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80444602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | melanopsin / メラノサイト |
Research Abstract |
「紫外線を浴びると日焼けします」という事は当然の事実として世間に広まっており、われわれ臨床を行う者はチロシナーゼによる代謝がmelanogenesisに関与していると理解している。しかし、皮膚はどの様にして光のシグナルを受け取るのか、という根本的な質問には誰も答えることが出来ない。われわれは生物進化の側面から網膜に発現するopsinのファミリーに属するmelanopsinというタンパク質に注目し、予備実験でヒトの皮膚における発現を確認した。本研究では光受容タンパクに注目し、melanogenesisを理解することで治療が困難な扁平母斑や白斑症を始めとする色素異常症の治療への新たなアプローチを切り開くことを目的としている。 ヒト手術検体より得られた皮膚のパラフィン切片を作成した。これに対して抗melanopsin抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、ヒト皮膚においては、表皮に強く発現を認め、一部、真皮線維芽細胞においてもその発現を認めた。母斑においても同様に免疫染色を行った所、母斑細胞においても強い発現を認めた。 培養細胞において光照射による反応を検討するため、短波長光源(450nm, 570nm)を用意した。メラノサイトの培養系はすでに構築しているが、光照射実験の実験系の確立を目指す上で、メラノサイト用培地などは非常に高価であるため、まずはその系が確立されており、比較的安価に実験系の検討が行える線維芽細胞を用いて光照射実験系の確立を目指した。 まず、線維芽細胞を培養した。このとき、暗順応させるため、3日間、の培養期間は暗室において培養を行い、光照射以外では赤色光を使用した。光照射を行った後、ERKおよびリン酸化ERK抗体を用いてウェスタンブロティングを行い、定量解析を行った。これまでのところ、450nmの光照射によりリン酸化は抑制される傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光照射実験系の立ち上げがほぼ線維芽細胞を用いて完了しつつあり、おおむね達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞継代数により光照射の影響が異なるパターンが認められるため、より継代数の低いものを用いる。また、光照射が一定の光量を保てないため、実験系をよりシンプルにするため、ERKのリン酸化アッセイはELISAを用いた物を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メラノサイトの培養系は非常に高価なため、まずは線維芽細胞を用いた実験により実験系の確立を目指した。そのため、差額が生じた。 今後、メラノサイトの培養を開始すると同時に、ELISAによる実験系の確立も目指す。
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