2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870430
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中川 愛 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (30446223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳児 / きょうだい / 遊び / 音声 / 発話 / 行動 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,研究目的であるきょうだい間における対乳児音声の特徴について,0~1歳代のきょうだいへの年上きょうだいの言葉によるコミュニケーション方法の特徴について,幾ばくか進展があった。まず,昨年度から引き続き,一組のきょうだいを対象に,有意味語から多語発話への移行期のきょうだいへの年上きょうだいの発話がどのように変化するのか,発話機能カテゴリー,育児語カテゴリー,擬音語擬態語の視点から検討を行った。その結果,絵本場面では,動きを表現する擬音語擬態語を使用し,月齢があがるにつれ,動きだけでなく,動物や乗り物の鳴き声や音も表現していること。玩具場面では,玩具の受け渡しや,ふり遊びを広げる発話,弟の動きや発話をまねる発話が出現すること。身体遊び場面では,弟の動作や本人自身の動作に擬音語擬態語を使用すること。姉や兄の発話内容は,遊び場面や,弟の発達にあわせて異なる可能性が示唆された。この成果については,日本教育実践学会第17回大会(「児童の乳児きょうだいへの発話に関する研究Ⅱ-生後24か月までの家庭観察場面を通して-」11月1日於鳴門教育大学)で発表を行った。 また,1歳代の年下きょうだいをもつ3歳児2組を対象に,対母親と対年下きょうだいへのかかわり方について,絵本よみ場面と手遊び歌場面を設定し,それぞれの場面での発話分析や行動特徴を検討した。対母親と対乳児では,特徴が異なること,絵本よみ場面と手遊び歌場面では,楽しさを共有方法が異なることが示唆された。この成果については,日本発達心理学会第26回大会(「1歳児きょうだいとの遊びに関する研究-絵本場面と手遊び歌場面に着目して-」3月20日於東京大学)で発表を行った。 平成27年度は,乳児の加齢にしたがって,どのような特徴がみられるか,引き続き調査を行い,3年間のまとめを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間2年目ではあるが,いくばくかは進展があり,概ね順調と自己評価した。以下の通り,本研究途中経過的な内容であるが,成果の発表をすることができたので,記載する。 1歳代のきょうだいをもつ年上きょうだいのコミュニケーションの特徴として,発話分析や行動分析を明らかにすることができた。この成果は,2014年11月1日日本教育実践学会にて「児童の乳児きょうだいへの発話に関する研究Ⅱ-生後24か月までの家庭観察場面を通して-」として,2015年3月20日日本発達心理学会にて「1歳児きょうだいとの遊びに関する研究-絵本場面と手遊び歌場面に着目して-」として報告をおこなった。 また,0~1歳代のきょうだいをもつ,きょうだい間の遊びの特徴を明らかにするため,「いないいないばあ」遊びなどのやりとりの発達的変化についても検討を行っている。分析途中のデータもあるため,今後できるだけはやく成果をまとめ,発表していきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,昨年度と同じ協力者を対象に,引き続き調査を行い,乳児の加齢に伴ったきょうだい間の音声を中心としたコミュニケーションの特徴を明らかにしていきたいと考える。これまでの研究から,対母親と対きょうだいとでは,異なる特徴がみられる可能性が示唆された。また,これまでは,絵本場面や手遊び歌場面などの視点から分析を行ってきたが,その他の場面も検討の対象としたいと考えている。その一つとして,「いないいないばあ」遊びを計画している。「いないいないばあ」は,乳児が好む遊びであり,多くの家庭で行われる遊びである。遊びを継続するためには,発話や動作を含めた他者とのやりとりのタイミングや「間」のとり方などが重要になってくる。乳児の年齢があがり,できることも増え,興味や関心が異なってくる可能性があり,年上きょうだいは,乳児にあわせたかかわり方を行うことが予想される。また,今年度は,対象者を増やし,年齢的な変化もみるため,横断的研究もふくめて検討していきたいと考えている。 得られた成果については,学会等で発表していく予定である。
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Research Products
(2 results)