2013 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病モデル細胞におけるαシヌクレインとSOCE機構の関連についての研究
Project/Area Number |
25870441
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 悟 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (20448195)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / カルシウムチャネル / SOCE機構 / αシヌクレイン / 細胞死 / ミトコンドリア毒性 |
Research Abstract |
パーキンソン病では,レヴィー小体の主要構成成分であるαシヌクレインの重合化が原因のひとつとして考えられている.一方で,TRPC1カルシウムチャネル依存性の小胞体安定化機構であるendogenous store-operated Ca2+ entry (SOCE)機構の破綻も,その原因のひとつして研究が進んできている.ただ,SOCE機構破綻とαシヌクレイン蛋白との関連については未解明のままであるため,そのため,本研究はこれらの病態解明を目的とした. パーキンソン病モデル細胞として,テトラサイクリン(Tet)調節機能を有する野生型ヒトαシヌクレイン発現PC12細胞を用いての検討を行った.まず,各種神経毒の投与下で細胞死解析を行ったところ,MTT法,Hoechst投与下でのアポトーシス細胞の観察により,αシヌクレイン過剰発現下ではロテノンやMPTPといったミトコンドリア障害作用を持つ薬剤に対しての細胞脆弱性が確認された.次に,これらの薬剤のSOCE機構との関連を検討するため,ロテノン,MPTP投与下でのTRPC1カルシウムチャネルの発現をウェスタンブロット法にて解析した.その結果,ロテノン,MPTPの両者にてTRPC1カルシウムチャネルの発現が抑制されることが確認された.一方で,VMAT阻害剤であるレセルピンを投与してもTRPC1カルシウムチャネルの発現は抑制されなかった.また,ヒトαシヌクレインの過剰発現はTRPC1カルシウムチャネルの発現には影響を与えていなかった.これらのことから,TRPC1カルシウムチャネルの発現がαシヌクレイン毒性の上流に存在することが確認された. 次に,SOCE機構の機能的評価のためには,細胞内Ca2+流入の測定が必要であるため,Fluo-4 (AM)蛍光法による測定方法を確立した.これについては,各種の条件下にて現在解析を進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画に沿って,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在遂行中である細胞内カルシウムイオンの解析と並行して,αシヌクレイン発現条件下にてαシヌクレイン重合化と各オルガネラの関連性を検討する予定である.平成25年度に行ったデータを参考に,神経毒への反応時間における各オルガネラ活性と蛋白分解機構の関連性に対してのαシヌクレイン重合化時期(低重合体の形成時期)を検討する.特に,SOCE機構についてはTRPC1チャネルを干渉RNAにて抑制した条件でαシヌクレインの重合化形成の変化を観察する.また,タンパク質分解経路については,軽度のプロテアソーム阻害条件や小胞体UPRシャペロンであるGRP78/Bipの干渉RNAによる抑制条件などにて,ユビキチン・プロテアソーム系とバルク系の均衡を評価する. その他,Tetシステムの機能を利用することで,αシヌクレインを一過性に過剰発現された後にも新規のαシヌクレイン産生を抑制することが可能であるため,蓄積したαシヌクレインタンパク質のタンパク質分解機構(クリアランス)の研究も行う. 最終的に,これらの結果から得られたデータから各経路の関連性について検討を行い,細胞保護効果薬剤などの探索を行っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究計画の中心となる研究はおおむね計画どおりに進行しているが,siRNAベクター作成やペプチド合成,リアルタイムPCRなどの費用がかかる計画が次年度に持ち越す形になっており,初年度は残高が生じている. これらの研究については,平成26年度計画の予定に沿って,平成26年度に研究を行う方針である.
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Research Products
(4 results)