2014 Fiscal Year Research-status Report
H5亜型インフルエンザウイルスのニワトリに対する病原性獲得メカニズムの解明
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25870443
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
曽田 公輔 鳥取大学, 農学部, 講師 (00582983)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス / インフルエンザ / H5亜型 / 病原性 / ニワトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
H5亜型インフルエンザウイルスによる高病原性鳥インフルエンザが世界各国の家禽で発生し、経済的に大きな被害を及ぼしている。台湾では本研究申請時点に至るまで、病原性の高い、または低いH5N2ウイルスによる鳥インフルエンザが断続的に発生しており、その多様な病原性から防疫が困難な状況であった。さらに2015年1月以降、H5ウイルスによる大規模な鳥インフルエンザの発生が相次ぎ、2015年中に453万羽余りの鳥が殺処分されている(4月26日現在) 本研究では、台湾流行株のうちニワトリに対する病原性を獲得しつつあるH5N2ウイルスを材料として、ニワトリにさらに高い病原性を示す上で必要なウイルス側の因子を検索し、ウイルス蛋白への機能に及ぼす影響について検討することで、防疫対策を講じていく上で有用な情報を得ることを目的としている。 平成25年度までに、ニワトリに対する病原性に関与すると考えられる8箇所のアミノ酸の同定が完了した。以降、いずれのアミノ酸がウイルスの病原性獲得に大きく寄与しているかを同定するために、任意でアミノ酸変異を導入することを可能とするリバースジェネティクス(人工的にウイルスを作出する技術)の系を対象ウイルスについて確立を目指しているが、2015年4月現在まだウイルスの作出には成功していない。研究目的を達成するため、当初の事業期間から1年の延長申請を行い、承認を受けた。今後はまず対象ウイルスの人工的作出の早期達成を目指し、さらには様々なアミノ酸変異を有するミュータントウイルスを作出し、それらのニワトリに対する病原性から、ウイルスの病原性に与るアミノ酸を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本事業では平成26年度中に研究の対象となるウイルスについて人工合成する系を確立し、ニワトリに対する病原性を調べる計画を立案していた。インフルエンザウイルスを人工的に合成するためには8本の遺伝子分節をそれぞれタンパク質発現ベクターにクローニングする必要があるが、作製した8つのプラスミドのうち一部について機能しないものがあり、現在問題を精査し再試行している状況である。 一部のプラスミドについてはすでに作出に成功しているので、他研究で確立したプラスミドと組み合わせてウイルスを作出し、ウイルスの一部アミノ酸についてニワトリに対する病原性に関与しているか否かを調べることも平成26年度中には可能ではあったが、2014-15中に日本国内で鳥インフルエンザが発生し、研究実施者所属機関のBSL3動物実験施設が病性鑑定のため確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に作製したプラスミドの問題点を明確にし、材料ウイルスの人工作出を達成する。すでに日本国内における高病原性鳥インフルエンザの流行は終息し、4月24日に清浄国に復帰したため、研究実施機関のBSL3動物実験施設も使用できる状況になっている。ウイルスの作出が成功すれば、変異ウイルス作出から動物実験まで速やかに遂行できるものと考える。
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Causes of Carryover |
本事業では特定のウイルスについて人工合成する系を確立し、ニワトリに対する病原性を調べる計画を立案していた。しかし、①実験系が平成26年度中に完全には確立しなかった、②作出した一部の株で動物実験を実施できる段階にあったが、冬季の国内における鳥インフルエンザの発生により病性鑑定業務のためBSL3動物実験施設を使用できず、平成26年度中の予算が消化できない状況であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①特定のウイルスについて人工合成する系の確立とその変異ウイルスの作出を引き続き行うため、その際に必要となる消耗品(プラスチック製品、細胞用培地、遺伝子増幅/改変用の試薬等)の購入に充てる。 ②BSL3施設における動物実験実施のため、実験用動物及びその飼料の購入を行う。
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