2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における転写制御因子NAC1とその下流遺伝子群の治療標的としての基盤研究
Project/Area Number |
25870450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
西 健 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (80538893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌関連転写制御因子 / NAC1 / 細胞浸潤能 |
Research Abstract |
膵癌は生物学的悪性度の高い疾患で、治療成績が不良である。膵癌治療において、新しい治療標的の発見を視野にいれた腫瘍特性を分子生物学的に解析した研究は非常に重要である。NAC1 は、癌関連転写制御因子であり、卵巣癌において高発現が、腫瘍再発や腫瘍悪性度に関与していることが報告されている。膵癌では mRNA レベルで発現が高いことが報告されており、申請者は、予備実験として膵癌切除標本を用いて NAC1 の発現と臨床病理 学的検討を行った。卵巣癌などのこれまでの報告とは異なり、NAC1 低発現群において静脈侵襲度やリンパ節転移率が高く、無病生存期間および全生存期間がともに不良であった。さらに、膵癌細胞株において NAC1 の発現を抑制したところ 細胞浸潤能が有意に亢進した。 1. NAC1 の下流遺伝子群の網羅的解析:NAC1 の発現を確認している子宮頸癌細胞株 HeLa、卵巣癌細胞株 OV207 および膵癌細胞株 MIA PaCa-2 およびPANC-1 の4種類の細胞株を用いて、コントロールおよび NAC1 siRNA ノックダウンにおける マイクロアレイ解析を行い、比較解析により下流遺伝子群の候補を同定した。 2. 膵局所浸潤および肝転移モデル系を用いた解析: マウスを用いた膵局所浸潤および肝転移モデルを樹立した。本実験は本学の動物実験専門委員会に実験申請を行い、許可を受けた上で施行している。 3. NAC1 の下流遺伝子群のうち細胞浸潤能を制御する遺伝子群の同定:NAC1 の下流遺伝子群のうち、5種類の候補遺伝子について siRNA を用いてマトリジェルを用いた細胞浸潤能による解析を行ったが、現時点ではまだ細胞浸潤能を制御するNAC1 の下流遺伝子は同定できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画した1)NAC1 の下流遺伝子群の網羅的解析、2)膵局所浸潤および肝転移モデル系を用いた解析、および3)NAC1 の下流遺伝子群のうち細胞浸潤能を制御する遺伝子群の同定について、計画通り順調に遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、解析を進め、膵癌の細胞浸潤能を制御する NAC1 の下流遺伝子群を同定解析し、治療標的への応用を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験に使用する十分な手持ちの細胞培養用試薬や DNA 精製・解析用試薬があったため、消耗品を購入するがなかったため。 次年度はさらに実験も増えるため、細胞培養用試薬、タンパク質精製・解析用試薬およびDNA 精製・解析用試薬を予定以上に購入し、使用する。
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