2013 Fiscal Year Research-status Report
顎骨骨膜細胞と骨伝導能を有する新規生体吸収性足場を用いた顎骨再生療法の開発
Project/Area Number |
25870452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
管野 貴浩 島根大学, 医学部, 講師 (60633360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨再生 / 顎骨再生 / 骨芽細胞 / 足場材料 |
Research Abstract |
本研究は、新規に開発された未焼成ハイドロキシアパタイト(u-HA)とポリ-DL-乳酸(PDLLA)の複合体(3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体)と、安全かつ高効率な誘導が可能な骨形成細胞前駆細胞である顎骨骨膜由来細胞を用い、骨再生治療法確立を目的としている。 まず、3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体の物性および生理活性能、細胞培養評価として、in vitroの系にて評価を行った。安定した評価を目的に、骨形成細胞のcell lineより、マウス頭蓋冠由来前骨芽細胞様細胞であるMC-3T3E1細胞を用いて、3次元培養を行った。3次元複合体内での細胞増殖が確認でき、細胞増殖活性および骨形成マーカーの発現検索が可能であった。3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体との比較検討材料として、同一組成で3次元多孔質を有さない緻密構造体を比較研究対象として検索した。3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体上では、比較研究対象間で、細胞増殖活性については有意差を認めなかった。一方で、骨形成メーカーとして、各種骨芽細胞転写因子および分化マーカーについては、mRNAレベルの発現において著明な増強を示した。 一方、in vitro研究と並行し、in vivo研究を行った。当初、ウサギ顎骨において検討したが、モデル動物作製の複数予備実験から、組織検索、タンパクレベルでの発現検索を考慮し、ラットを用いて顎骨に顎骨欠損モデルを作製し、評価検討を行った。ラット下顎骨に、Critical bone defectを作製し、同部へ3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体を移植填塞し、1週、2週、4週、8週にて検体採取を行い、骨再生について検索を行った。結果は、1週目より骨再生足場内への骨誘導再生が認められ、2週目以降では著明な新生顎骨形成が見られた。4週では、ほぼ完全な骨形成がみられ、8週では成熟骨形成が明らかとなった。 したがって3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体は顎骨再生の足場材料として非常に有用性が高いと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、本研究の骨再生の足場材料である3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体をもちいての物性および生理活性能、細胞培養評価としてin vitro系での評価と、in vivo系としてのラットを用いての顎骨欠損モデルを作製し、骨再生および骨形成に関する形態組織学的評価を行えていることから、初年度の研究予定はおおむね予定通りに進行しているものと考えれられる。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元多孔質u-HA/PDLLA複合体には、顎骨再生に求められる具備条件を有用性たかく有していることが本年度の研究で明らかとなった。 次年度は、in vitro系での分子生物学的検索評価と、in vivo系での形態組織学的評価をさらに詳細かつ包括的に検索を展開する。 あらたな検索内容としては、ラット顎骨骨膜由来の骨形成細胞を培養誘導し、これまでのcell line cellと同様に骨再生に関する評価を行う。また骨膜由来の骨形成細胞をさらに本骨形成足場材料へ応用し、骨再生への有用性を検索する。 また本研究により得られた知見について考察を加えた上で、国内および国際的な学術大会での研究成果の報告と学術論文を作成し、国際学術雑誌へ投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
In vitroでの、骨形成細胞を用いた実験計画は、ほぼ予定通りに進行した。 一方、In vivo研究では、当初、ウサギ顎骨にCritical bone defectを作製し、顎骨再生実験を予定していたが、複数予備実験より、ウサギよりもラット下顎骨での顎骨欠損モデルが最適と考えられたため、ラットを使用することとした。したがって、実験動物にかかる費用、管理及び手術にかかる費用が予定していた額よりやや安価であった。 今後、In vitro研究もさらに発展させ、またラットを用いたIn vivo研究では、研究成果発展のため、更なる使用動物数も増加が予定されており、概ね本研究にかかる予算請求額と、2年間での使用予定額は、ほぼ予定通りの使用となるものと思われる。
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