2013 Fiscal Year Research-status Report
パラジウム-グラフェン複合体:価数制御による高機能触媒の創出
Project/Area Number |
25870457
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仁科 勇太 岡山大学, その他部局等, 助教 (50585940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パラジウム / ナノ粒子 / グラフェン / 酸化グラフェン |
Research Abstract |
固体触媒は均一系触媒に比べ,活性が低いとされている。金属ナノ粒子の担体として,グラフェン類を利用することで,この問題を解決しようと試みた。グラフェンは理論表面積が極めて大きいだけでなく,高い強度を有するため,触媒担体として有効である。本研究では特に,酸化グラフェン(GO)に着目し,GOの酸化度や溶媒分散性の制御,およびGOに金属ナノ粒子(特にPdナノ粒子)の価数を制御して担持することにより,ファインケミカル合成に資する高機能触媒として利用することを目指した。 本研究期間内の成果として,黒鉛を数秒間マイクロ波処理することでHummers法の効率を格段に向上させ,多様なGOを合成した。GOには種々の酸素官能基(カルボニル基,ヒドロキシル基,エポキシ基,カルボキシル基)が存在するが,本研究では酸化度の尺度として元素分析による酸素含有量およびXPSによる酸素官能基の定量で評価した。 合成したGOを用い,パラジウム-GO複合体を合成し,触媒活性を調査した。複数の還元されうる官能基を有する化合物を基質として用いた際に,選択的な水素化反応が進行した。 反応前後でのパラジウムの価数の変化をXSPで追跡した。GO表面にパラジウムをイオン交換により固定化した場合,パラジウムの価数は2価であったが,反応後にはゼロ価が主に生成していた。また,繰り返し利用特性やパラジウムの溶出試験も行い,従来にない触媒を作り出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pd(0)を用いる反応とPd(II)を用いる反応の両方を開拓でき,さらに触媒構造のキャラクタリゼーションも行うことができた。 当初想定していたXAFSの測定を,平成26年6月以降に行うことにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
パラジウム-グラフェン複合体触媒が水素化反応において選択性が発現する理由を解明する。 XAFS,IRなどを用いて中間体の構造解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,平成25年度に想定していたフォトンファクトリーのビームタイムが配分されず,平成26年度に割り当てられたため。 フォトンファクトリーでの実験に関する消耗品,人件費,旅費として使用する計画である。
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Research Products
(25 results)