2013 Fiscal Year Research-status Report
高反応活性種を活用する光学活性含窒素化合物の効率的合成
Project/Area Number |
25870458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
萬代 大樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60534427)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 速度論的光学分割 / キラルリン酸 / 光学活性アミン / アシル化 / ピリジニウム塩 / 対アニオン / ラセミ体アミン |
Research Abstract |
申請者らはキラルリン酸,1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を組み合わせ用いる第二級アルコールの速度論的光学分割反応を開発した( Mandai et al. Org. Lett. 2012, 14, 3489).本手法は幅広い基質に適用でき,Kaganらが提唱したselectivity factorにおいて最高105(s値20以上が合成的に有用な方法とされている)を示し,アセチル化体の鏡像体過剰率は91% ee, 回収アルコールの鏡像体過剰率は98% ee以上という反応系を確立している. このような背景のもと,本手法は光学活性アミンの新たな合成手法となりうるのではないかと考え,研究に着手した. まず始めに,アシル化剤とピリジンからN-アシルピリジニウム塩クロリドを調製し,その後,その塩にキラルリン酸銀塩を作用させ,キラルなN-アシルピリジニウム塩を発生させた.この際,塩化銀の沈殿を確認することができた.このキラルなN-アシルピリジニウム塩に1-フェニルエチルアミンを反応させたところ,中程度のエナンチオ選択性で速度論的光学分割が行えること明らかとなった.また反応に用いる塩基の構造が非常に重要であることが分かった.しかしながら,この反応では不斉触媒反応と同時に無触媒反応が進行しており,この無触媒反応をいかに抑えるかが今後の検討課題である.この課題は反応活性種の溶解性を向上させれば,解決できるものと期待している.そこで現在は,様々なキラルリン酸および塩基の検討を行っているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塩化アセチル及び2-フルオロピリジンから調製できるピリジニウム塩に対して,キラルリン酸と炭酸銀から調製するキラルリン酸銀を加えることで,反応活性種を生成とともに塩化銀の沈殿を確認した.これに対して,ラセミ体アミンを加えると速度論的光学分割が起こり,反応変換率は低いながら,中程度のエナンチオ選択性でアセトアミド体を得ることができた.この反応では,2-フルオロピリジンあるいは炭酸銀のどちらかが欠けても反応はほとんど進行せずエナンチオ選択性も発現しない.この結果から,キラルリン酸を対アニオンとする光学活性ピリジニウム塩が活性種となりエナンチオ選択性が発現していること知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,更なる反応条件の最適化を行うため,以下の検討を中心に進めていく.(1)キラルリン酸の検討(触媒の溶解性向上のための置換基検討)(2)塩基の検(3)アシル化剤の検討(4)アミンの求核性の検討 上記(1)-(4)の検討が終わり次第,ラセミ体アミンの基質一般性の拡充を目指す計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用する物品購入が想定よりも少なかったため,次年度使用額が生じた. 次年度の使用計画は従来のまま,1年目に購入しなかった物品購入を2年目に充てる.
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