2014 Fiscal Year Research-status Report
新規誘導法で樹立された神経幹細胞は脳梗塞を治療しうるか?
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25870460
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 徹 岡山大学, 大学病院, 講師 (60644408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iN細胞 / 細胞移植 / ダイレクトリプログラミング / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はマウス皮膚線維芽細胞より神経幹細胞を直接的に誘導し(induced neural stem cells; iNSCs)、脳梗塞などを含む神経疾患への治療応用へ展開するための基礎的研究基盤を確立することが目的である。 平成25年度に主にダイレクトリプログラミングを行うためのウイルスベクターの構築を行った後、平成26年度は 韓国建國大学のDong Wook Han博士との共同研究により神経幹細胞特異的な4つの転写因子(ここではFactor Xsとする)をマウス皮膚線維芽細胞にレトロウイルスベクターを用いて強制発現させることで、iNS細胞を誘導した。また至適条件下でニューロンとグリアに分化誘導し、免疫染色で評価した。 培養開始4週間後、皮膚線維芽細胞の形態はクラスター状に変化し、EGF,FGF存在化で継代することで、iNS細胞株を誘導した。得られたiNS細胞株はNestin, Sox2, Olig2などの神経幹細胞マーカーが陽性であることが確認された。またニューロンとグリア細胞にそれぞれ分化させた場合、ニューロンのマーカーであるMAP2, Tuj1、アストロサイトのマーカーであるGFAP, オリゴデンドロサイトのマーカーであるGalCがそれぞれ陽性であることも確認でき、このiNS細胞株が多分化能を持つことも確認できた。 以上の結果よりこのダイレクトリプログラミング法によって誘導されるiNS 細胞はニューロン、アストロサイト、オリゴデンドサイトに分化誘導可能であり、多分化能を持つことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、すでにマウス脳梗塞モデルに対してiNS細胞株を移植手術を行い運動機能評価等を行っているが、iNS細胞株の腫瘍形成などの安全性を確認するために移植後6ヶ月間の長期生存モデルの経過を観察する必要が生じた。このため当初の予想よりも、脳組織解析を全て終了させることに時間を要することとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
長期生存モデルの経過観察を行い、iNS細胞移植で腫瘍が生じないかを注意深く観察する。また同時に免疫組織学的手法を用いて、移植治療による治療効果の検討を早急に進める。
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Causes of Carryover |
平成26年度にiNSCsの移植手術を受けた動物モデルの免疫組織学的検討を行う予定であった。しかし細胞移植後の腫瘍形成が起こるかどうかを検討するため、細胞移植後6ヶ月以上長期生存させて解析する必要があるが、これに当初想定よりも時間を要することとなり、長期生存モデルの解析と成果発表を行うことが出来ない見込みとなったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、長期生存モデルの解析と成果発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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