2013 Fiscal Year Research-status Report
アモルファスシリコンを用いた欠陥制御型ヘテロジャンクション電極の開発と制御
Project/Area Number |
25870466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
花房 宏明 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (70630763)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オーミックコンタクト / 炭化ケイ素 / Si/SiCヘテロ接合 |
Research Abstract |
半導体デバイスにおけるオーミック電極の形成は各々の半導体に合わせた金属を選択する必要がある。高性能LSIや省エネルギー高効率パワーデバイスに向けた次世代デバイス材料としてGeやSiC(炭化ケイ素)が期待されている。しかし、Geはフェルミ準位のピンニングにより金属固有の仕事関数が反映され難く、また、SiCはピンニングの影響は小さいもののバンドギャップが大きいことにより金属とのポテンシャルエネルギー差が大きく、それぞれ良好な電気特性を得ることが難しい。その解決として電極金属とGeの間にアモルファスシリコン(a-Si)層を挿入したヘテロ構造を用いることでオーミック特性が得られることを報告してきた。本研究はその原理を解明するとともに、GeやSiCにおける低温オーミック電極形成技術の開発と制御を目的にしている。 平成25年度は提案しているa-Si挿入層をSiC半導体に適用し、ヘテロ構造の形成方法とそのオーミック特性の調査、原理解明のためのバンドポテンシャル相対位置の調査を行った。 その結果、①n型SiC基板上にプラズマ化学気相堆積法を用いて形成したa-Si層に対し、不純物濃度を高めるほど、また、欠陥制御を目的とした加熱処理の温度を高めることによりSiCに対して2×10-6 Ωcm-2 という実用に耐えうる特性を持ったオーミック電極を電極金属の熱処理無しに得ることに成功した。②さらに、X線光電子分光法を用いて解析したSiとSiCのバンドポテンシャルの相対位置調査によりオーミック特性を得るための障壁となる電極金属とSiCのポテンシャルエネルギー差がa-Si層の挿入により大幅に低減されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SiC基板上におけるSi挿入層とのヘテロ構造形成に関し、a-Si挿入層の結晶状態制御、電極金属の加熱処理を行わないプロセスを提案・実施し、電気特性の調査からオーミック特性が得られることを明らかにした。また、SiとSiCのバンドポテンシャル相対位置調査によりSiCのポテンシャル障壁が大幅に低減されていることを明らかにした。以上のことから、a-Si挿入層によるヘテロジャンクション電極の原理解明と低温電極形成を目的とした主要な年度計画をおおむね順調に達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度で実施したa-Si挿入層によるSiCのバンドポテンシャル障壁の変調調査とオーミック特性の取得から研究を進展するため、不純物濃度や結晶制御法の模索、XPS による理論的・化学的な解析、電気特性の調査を行い、良好なオーミックコンタクト形成の条件を明らかにする。また、電極金属の違い、SiCデバイスの最大の利点である悪環境(高温・高圧・多湿)における動作を調査し、申請書に挙げた年次計画を達成する。また、提案法の応用展開として同様にオーミックコンタクトの取得が困難なp型SiCに対しても同様の試みを行い、調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品単価に変更があり、2686円残金が生じた。 真空装置を維持するために必要なガスケット等の消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)