2013 Fiscal Year Research-status Report
正答のある意思決定と正答のない意思決定の統合的理解:MRIと計算モデルによる検討
Project/Area Number |
25870467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中尾 敬 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40432702)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内因性脳活動 / 正答のない意思決定 / 外側前頭前皮質 / 内側前頭前皮質 / 計算モデル |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの脳内における意思決定プロセスを解明するため、これまでに多くの検討がなされてきた「1つの正答が存在する事態での意思決定」に加え、それとは異なる特徴を持つ「正答が存在しない事態での意思決定 (例:職業選択) 」について検討を行っている。当該年度はまず、機能的核磁気共鳴断層画像法(functional magnetic resonance imaging: fMRI)よりも比較的簡便に脳活動を記録できる近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy : NIRS) を用い、安静時に記録される内因性脳活動と正答のない事態においける意思決定との関連について、その背景にある神経基盤の検討を行った。実験の結果、安静時の外側前頭前皮質における低周波成分の振幅が大きい個人ほど、正答のない意思決定時に機能する内側前頭前皮質の活動が低下していることが明らかとなった。このことから正答のない意思決定の特徴の一つである内因性の脳活動との関連について、これまで不明であったその関連の背景にある神経基盤の一部を明らかにすることができた。現在は引き続き、より詳細にその神経基盤を明らかにするため、NIRSよりも空間解像度の高いfMRIを用いた同様の実験を実施している。また本研究では、意思決定プロセスの解明のために計算モデルも使用することを計画していたが、当該年度では意思決定プロセスを説明しうる複数種類の計算モデルの構築を行った。さらにモデルの妥当性を検討するための実験を実施し、行動データとのフィッティングを行うことで、適切なモデルの選択や各種パラメータの設定についての検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では計画通り、内因性の脳活動と正答のない意思決定との関連の背景となる神経基盤を検討することができた。fMRI実験のデータは当該年度中に十分なデータ数が集まらなかったものの、NIRSを用いた実験から目的を達成することができた。fMRI実験については引き続き実施している。次年度に計画していた計算モデルについての検討も前倒しで実施した。以上のことから、計画全体の達成にむけて十分な進捗がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きfMRI実験を実施し、計算モデルについて検討も進める。計算モデルについての検討では必要に応じて予備実験として行動データや脳波データの収集もて行い、それらとモデルの出力との整合性を調べる。十分なfMRIデータが揃い次第、正答のない意思決定と内因性の脳活動との関連についてさらなる検討を進めるとともに、計算モデルを用いた解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MRIを使用できる施設の工事とそれに伴う混雑により、fMRI実験のデータを十分数集めることができなかったため次年度使用額が生じた。 引き続きfMRI実験データを収集するため、実験参加者、実験補助者への謝金、及び施設使用費として用いる。またデータを保存するためのハードディスク等、実験実施に必要な物品を購入する。研究成果を公表するための学会発表や論文執筆に必要となる経費の支出も計画している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The degree of early life stress predicts decreased medial prefrontal activations and the shift from internally to externally guided decision making: An exploratory NIRS study during resting state and self-oriented task.2013
Author(s)
Nakao, T., Matsumoto, T., Morita, M., Shimizu, D., Yoshimura, S., Northoff, G., Morinobu, S., Okamoto, Y., and Yamawaki, S.
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Journal Title
Frontiers in Human Neuroscience
Volume: 7
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Resting state low-frequency fluctuations in prefrontal cortex reflect degrees of harm avoidance and novelty seeking: An exploratory NIRS study.2013
Author(s)
Nakao, T., Matsumoto, T., Shimizu, D., Morita, M., Yoshimura, S., Northoff, G., Morinobu, S., Okamoto, Y., and Yamawaki, S.
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Journal Title
Frontiers in Systems Neuroscience
Volume: 7
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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