2014 Fiscal Year Research-status Report
正答のある意思決定と正答のない意思決定の統合的理解:MRIと計算モデルによる検討
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25870467
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中尾 敬 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40432702)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 正答のない意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ヒトの脳内における意思決定プロセスを解明するため、これまでに広く検討されてきた一つの正答が存在する事態での意思決定に加え、それとは異なる特徴をもつ正答が存在しない事態での意思決定(例:職業選択)について検討を行っている。当該年度では,昨年度に引き続きデータ収集を進めるとともに,データ解析に使用する計算モデルの検討を進めた。計算モデルについては、これら2つの意思決定の統合的理解の枠組みとして,正答のある事態の意思決定において用いられてきた強化学習モデルに注目し、正答がない事態についても適用することを検討した。行動データや脳波データからは、正答のない事態においても強化学習のような学習過程が生じていることが見出されたが、シミュレーションによる検討からモデルへの入力データとして主観的評定の値を用いることに技術的な問題があることが明らかとなった。その問題の解決にはモデルによる解析面でのアプローチよりも実験パラダイムを工夫することが重要であることも明らかとなり、実験パラダイムについての検討も進めた。当該年度ではまた、昨年度までの研究成果を学会等で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度ではデータ収集に加え,予定していたモデルについての検討も進めることができた。正答のある事態と正答のない事態における意思決定の統合的理解のために強化学習モデルが有用であることが明らかとなった。正答のない事態に強化学習モデルを適用するための技術的な問題点が明らかとなったが,その解決策も見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は強化学習モデルを正答のない意思決定のデータにも適用するために,実験パラダイムの改善をさらに進め,そのパラダイムを用いた実験データの収集を行う。そのデータについて強化学習モデルを用いた解析を実施する。また,これまでに収集したデータについて,随時公表していく。
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Causes of Carryover |
海外で開催される国際学会での発表を計画していたが,国内で開催された国際学会で発表を行ったため、旅費の支出が予定よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集のため,実験参加者、実験補助者への謝金を計画している。またデータを保存するためのハードディスク等、実験の実施に必要な物品を購入する。研究成果を公表するための学会発表や論文執筆に必要となる経費の支出も計画している。
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Research Products
(6 results)