2013 Fiscal Year Research-status Report
ホスホランバン・アプタマーを利用した新たな心不全治療薬の開発
Project/Area Number |
25870470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
酒井 大樹 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40464367)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心不全治療薬 / ホスホランバン / アプタマー / 細胞膜透過性ペプチド |
Research Abstract |
本研究は、ホスホランバンに特異的に結合し、心筋小胞体へのCa2+取り込みを促進するアプタマーを新たな心不全治療薬として開発することを目的とする。これまでに得られたホスホランバン・アプタマーは、in vitroで心筋小胞体のCa2+取り込みを促進することが既に証明されているが、心筋細胞内に導入する方法が課題であった。本研究では、細胞膜透過性ペプチドを用いてホスホランバン・アプタマーの心筋細胞への導入方法、及びその効果を検討し、本年度は以下のような成果を得た。 細胞膜透過性ペプチドのひとつである改変型TATペプチドを連結したホスホランバン・アプタマー(mTAT-Apt)をラット成獣より単離した心筋細胞に処理したところ、収縮・弛緩能、Ca2+濃度変化の促進効果を確認した。この効果は、アプタマーの配列をスクランブル化したコントロールアプタマーでは見られなかった。また、細胞への導入濃度、時間について検討を行い、mTAT-Aptによる単離心筋細胞への導入法を最適化した。さらに、カフェインを用いて単離心筋細胞の筋小胞体Ca2+量を測定したところ、mTAT-Apt処理した細胞で増加していた。一方、mTAT-Aptによる単離心筋細胞の収縮・弛緩の促進効果は、βアドレナリン受容体阻害薬のプロプラノロール処理下において抑制されなかったことから、本アプタマーがβアドレナリン受容体の活性化非依存的に心筋細胞の収縮能を亢進していることが明らかになった。 以上の結果より、mTAT-Aptが新たな心不全治療薬として利用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数種類の細胞膜透過性ペプチドの中から、mTAT-Aptを用いて成獣ラットの単離心筋細胞で収縮・弛緩能、Ca2+濃度変化の促進効果を検証することができた。また、単離心筋細胞系における導入法を最適化することができたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、mTAT-Aptが単離心筋細胞で効果的であることを確認できたため、本アプタマーがin vivoでも同様に効果を発揮することができるか検討を行う必要がある。一方、単離心筋細胞での促進効果には、高濃度のmTAT-Aptが必要であることが判明した。従って、他の細胞膜透過性ペプチドについて、より低濃度で効果を発揮できるものがないか探索し、検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は使用する試薬類の費用を当初の見積りより低額に抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 実験動物の購入及び維持・管理費としての使用を計画している。
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Research Products
(2 results)