2013 Fiscal Year Research-status Report
極低周波変動磁界曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用の網羅的検討
Project/Area Number |
25870475
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北岡 和義 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50432753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 極低周波変動磁界 / 副腎皮質ホルモン / cAMP |
Research Abstract |
まず、極低周波変動磁界(ELF-MF)の曝露によるマウス副腎皮質由来細胞株であるY-1細胞における副腎皮質ホルモン分泌刺激作用の曝露時間に対する依存性を明らかにするために、6時間、12時間、24時間および48時間曝露での副腎皮質ホルモン分泌量変化について検討したところ、24時間および48時間曝露によりコルチコステロン、アルドステロン分泌量はELF-MF曝露群において有意に増大した。さらにY-1細胞の副腎皮質ホルモン合成酵素群発現量の定量を行ったところ、ステロイド合成の律速酵素であるCyp11a1の有意な増大が示された。 この副腎皮質ホルモン分泌増強のメカニズムを探るためにDNAマイクロアレイ解析を行った結果、ELF-MF曝露によりGタンパク共役型受容体(GPCR)の発現に有意な変化が示された。GPCRの下流にあり、ステロイドホルモン合成の誘導に関わるとされる細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)濃度も1時間、6時間、および24時間のELF-MF曝露により有意に増大し、cAMPの増加によりリン酸化が進む転写因子であるcAMP応答配列結合タンパク(CREB)のリン酸化も24時間 ELF-MF曝露により有意に増大したことから、ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用のメカニズムとしてELF-MF刺激による細胞内cAMPの増加が関与していることが示唆された。 加えてこれらのELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用がヒトにおいても起こりうるかについて基礎的な知見を得るために、ヒト副腎皮質由来細胞株であるH295R細胞に同様のELF-MF曝露実験を行った結果、12時間、24時間のELF-MF曝露によりアルドステロン分泌の有意な増加が認められた。この結果から、ヒトにおいてもELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用が起こりうる可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画として、「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌作用の磁界強度および曝露時間依存性の検討」および「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌作用に関わる遺伝子発現変化の解明」を挙げていた。 磁界強度の依存性については本年度は行っていないが、それ以外の内容については遂行することができ、さらに次年度以降の研究計画に挙げていた「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用メカニズムの検討」および「ヒト由来副腎皮質細胞株に対する慢性ELF-MF曝露による影響の検討」についても、研究を進めることができた。 これらの理由より、研究計画当初の計画以上に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、本年度遂行していない「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌作用の磁界強度依存性の検討」を行うとともに、「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用メカニズムの検討」についてより詳細な検討を進めたい。加えて、次年度以降の研究計画に予定されている「慢性ELF-MF曝露影響の細胞特異性の検討」についても研究を進める予定である。
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