2014 Fiscal Year Research-status Report
極低周波変動磁界曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用の網羅的検討
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25870475
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北岡 和義 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50432753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 極低周波変動磁界 / 副腎皮質ホルモン / cAMP / ホスホジエステラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究として、特に「慢性極低周波変動磁界(ELF-MF)曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用メカニズムの検討」および「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用の磁界強度依存性の検討」について検討を進めた。 昨年度までの結果として、マウス副腎皮質由来細胞株であるY-1細胞においてELF-MF曝露が細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)濃度上昇を誘導することで副腎皮質ホルモン分泌を刺激することが示された。細胞内cAMP濃度は、合成酵素であるアデニル酸シクラーゼ(AC)活性と、分解酵素であるホスホジエステラーゼ(PDE)活性の比によって決定される。そこでACを活性化させるGタンパク質Gsαサブユニットの拮抗薬であるNF449の投与がELF-MF曝露によるcAMP濃度上昇を抑制させるか、およびELF-MF曝露によりPDE活性が変化するかについて明らかにすることで、ELF-MF曝露による細胞内cAMP濃度上昇のメカニズムについて検討を行った。 結果として、NF449の投与により細胞内cAMP濃度は有意に減少した。しかし、疑似曝露群とELF-MF曝露群間の細胞内cAMP濃度差は有意にELF-MF曝露群が高いままで維持されていた。一方、PDE活性はELF-MF曝露による有意な減少が認められた。以上より、ELF-MF曝露による細胞内cAMP濃度上昇は、PDE活性の抑制によるものであることが示唆された。 またELF-MF曝露影響の磁界強度依存性について、0.25~3mTの磁界強度において24時間のELF-MF曝露を行いコルチコステロン濃度を検討したところ、コルチコステロン濃度の上昇は0.5mT以上の曝磁群において認められた。このことから、ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用は少なくとも0.5mT以上の磁界強度において現れることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画として「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用メカニズムの検討」および「慢性ELF-MF曝露による副腎皮質ホルモン分泌刺激作用の磁界強度依存性の検討」を挙げていた。 この2つの研究計画について当該年度において順調に研究を進めることができ、それぞれの計画についてある程度の結論を得ることができたと考えている。 これらの理由により、本研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、予定されている研究計画である「慢性ELF-MF曝露影響の細胞特異性の検討」について進めるとともに、これまでの研究内容をまとめ成果論文として発表することを推進する予定である。
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Causes of Carryover |
未使用額13,080円については、第92回日本生理学会参加費(H27年3月21日~23日)として使用したが、支払いが完了していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第92回日本生理学会参加費は、4月に支払い予定である。
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