2015 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌細胞における細胞内エネルギー/糖代謝調節機構の解明と抗癌治療戦略の構築
Project/Area Number |
25870489
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田口 崇文 高知大学, 育研究部医療学系臨床部門, 講師 (40437710)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 甲状腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺細胞におけるエネルギー代謝関連因子の同定及び制御機構の分子的解明を行うことを目的として、転写補助因子及び PAX8-PPARγ融合蛋白の甲状腺細胞内エネルギー代謝に及ぼす効果を検討した。PPARγ標的遺伝子の一つであるアクアポリン(AQP)7 遺伝子は、水/グリセロール輸送蛋白で、PAX8-PPARγ陽性甲状腺濾胞癌において高発現していることが知られており、ヒト甲状腺上皮細胞を用いて PAX8-PPARγ融合蛋白の AQP7 転写活性に及ぼす影響を検討した。PAX8-PPARγ融合蛋白はシグリタゾンの添加下において、AQP7 プロモーター活性を亢進させ、その変異により同活性は失活した。また PPARγ遺伝子配列ノックアウトにより AQP7 プロモーター活性が失活したことから、同遺伝子が AQP7 活性維持の重要因子であることが示唆された。転写補助因子である PGC-1α及び SRC-1 は PAX8-PPARγ融合蛋白と協調して AQP7 プロモーター活性を亢進させ、PGC-1αは PPARγ共発現下においてリガンド非依存性に AQP7 プロモーター活性を亢進させた。以上より PAX8-PPARγ融合蛋白の AQP7 転写調節機構において、リガンド非依存性活性効果は PGC-1αを介した機序が、リガンド依存性活性効果は SRC-1 を介した機序であることが推察された。AQP7プローブを用いたEMSAでは、PPARγ変異によりPPARγ/PAX8PPARγともに結合失活し、PPARγドメインが AQP7 DNA 結合活性の維持に重要であることが示唆された。本研究結果は、甲状腺細胞内エネルギー代謝制御機構における転写補助因子の分子調節機序の一端を明らかとした。
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