2014 Fiscal Year Annual Research Report
新たに発見した微小管結合性抗癌剤に対する細胞応答の分子機構解明と創薬標的の探索
Project/Area Number |
25870501
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飯森 真人 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20546460)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 微小管結合性抗癌剤 / 有糸分裂 / Aurora B / EB2 / ゲノム不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小管結合性の抗癌剤は臨床において最も重要な抗癌剤のひとつである。前年度に申請者はヒト培養細胞に微小管結合性の抗癌剤を作用させると、有糸分裂期において微小管結合因子EB2が有糸分裂期で重要な役割を持つAurora Bキナーゼによってリン酸化されることを見出した。 今年度さらに、EB2 がAurora B のみならずCDK1の基質であることを見出した。EB2のリン酸化は有糸分裂期特異的にかつチェックポイントの活性化にともない誘導された。前年度にリン酸化EB2は微小管への結合親和性が低下することを示したが、さらにAurora B およびCDK1の阻害剤によりリン酸化状態の減弱したEB2野生型、あるいは非リン酸化型EB2微小管との結合性が上昇することが示され、EB2のリン酸化は微小管結合親和性を負に制御することが明らかとなった。さらに前年度、非リン酸化型EB2の安定発現細胞株(EB2-7A)は、微小管結合性の抗癌剤を作用させていない有糸分裂期中期においても、染色体の赤道面への整列に遅延を示し、EB2-7A株に微小管結合性の抗癌剤を作用させて有糸分裂期チェックポイントを活性化させたところ、その後チェックポイントを解除した際の染色体整列に重大な異常をきたすことを示したが、加えて正常細胞株にEB2-7Aを恒常的に発現させ30世代培養したところ、EB2-7A発現細胞では6倍程度(約30%)の異数性を示す細胞が観察された。このことは、Aurora B/CDK1による有糸分裂期でのEB2制御がゲノム安定性の維持に必要なことを示しており、EB2のリン酸化制御の破綻が発癌あるいは癌の進展に寄与する可能性を強く示唆するものである。
|