2013 Fiscal Year Research-status Report
グラム陰性菌によるLPS-DNA複合体産生の証明と歯周炎におけるその強毒性の解明
Project/Area Number |
25870505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 真由美 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00404054)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | A. actinomycetemcomitans / LPS-DNA複合体 |
Research Abstract |
(1)菌体からLPS-DNA複合体を効率良く回収する方法の確立:Triton-EDTA処理法の回収効率の検索をまず行った。LPSに対してEDTA処理を行うと、LPSの凝集も解除され、この状態でTriton-X114による二層分配法を行うと、上相のLPS-DNA複合体の回収量が総合的に減少した。このようにTriton-EDTA処理法および電気泳動法による細菌の菌対外構造物を回収方法には操作の煩雑さと回収効率が課題となっていた。そこで、DNAの抽出に用いる中性フェノールを用いたDNA抽出方法を併用し菌体に対して行い、その後のアガロース電気泳動にて確認できたLPS-DNA複合体のバンドを切り出した。切り出したバンド体は電気溶出させて、さらに複合体を形成していないLPSを除去するために二相分配法を用いて精製した。精製した複合体にはLPS-DNAの他にナトリウムイオン等を多量に含むため、限外ろ過にてイオンを除去し、KDO測定法および吸光度測定を行うことで精製した溶液内に確認した。これにより、DNAと2価の陽イオンを介さず複合体を形成しているLPSの存在が示唆できた。 (2)LPS-DNA複合体の病原性の解明:LPS-DNA複合体の病原性を比較研究するために、粗精製したものではなく、DNAなどの不純物の少ないLPSを精製する必要があった。そこで、従来のLPS精製法であるホットフェノール法に加え、DNaseI、RNase、proteinase Kによる処理法を併用し、更に重複させることで精製率を上げる試みを行った。3回のホットフェノール法および、2回の各酵素処理を行ったところ、ホットフェノール単独法に比べはるかに核酸・タンパク質の不純物の少ないLPSの精製に成功した。これによりLPS-DNA複合体と純LPSの病原性を比較検討する前処理ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の当初の計画目標として、効率の良いLPS-DNA複合体の回収方法の確立を挙げた。具体的には、Triton-EDTA処理法および電気溶出法の条件を設定し、回収効率を比較するというものであった。方法の修正は必要になったが、目標であるLPS-DNA複合体の回収方法の確立はできたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の平成26年度以降の計画として挙げていた通り、以下の項目を実施していく。(1)LPS-DNA複合体の非産生株と野生株とでLPS化学構造を比較:LPS-DNA複合体を形成しにくい株があることは予備実験にて確認している。そこで、LPSの生合成に関わる遺伝子配列を用いて欠損株を作成し、野生株と比較することで複合体形成に必要なLPS構造を特定する。(2)LPS-DNA複合体の病原性の解析:LPS-DNA複合体と病原性を比較する対象として、純度の高いLPSと、変異株を用いてLPS糖鎖が短い複合体を用意し、それらを用いてLBPを介したマクロファージの活性化、もしくは好中球に対するプライミング反応、リムルス反応のいずれかで病原性を解析していく。(3)LPS-DNA複合体の広汎性と多様性についての検証:LPS-DNA複合体が、他のA. actinomycetemcomitans菌株、あるいは他の歯周病原細菌、大腸菌などグラム陰性菌について同様に産生されるのかを確認し、産生量について培養環境の因子が関わるのかについて検証する。
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