2013 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化能を可視化できる化学発光イメージング技術の開発と新規抗酸化物質探索への応用
Project/Area Number |
25870521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岸川 直哉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90336181)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗酸化剤 / イメージング / 化学発光 / CCD カメラ / キノン / 食品 / 酸化還元 |
Research Abstract |
本研究では、食品由来の有用な抗酸化物質の探索を目指し、抗酸化能を画像として捉えて一斉に測定するシステム、並びに、実試料中での抗酸化物質の組織分布をわかりやすく可視化するシステムを開発する。本システムは、抗酸化物質の還元作用により電子伝達体であるキノンがセミキノンラジカルへと還元され、これが元のキノンへと再び酸化される過程で発生する活性酸素がルミノールを酸化することで発光が生じるという現象に基づいている。この一連の酸化還元反応により生じる発光を冷却 CCD カメラにより撮影することで抗酸化能の強さを画像として取得可能である。 最初に、典型的な抗酸化物質であるアスコルビン酸を添加したマイクロプレートのウェルに、ルミノール及びキノンの 1 種であるメナジオンを順次添加後に生じる発光を CCD カメラにより撮影した。その結果、ウェル中で生じた発光を画像として撮影可能であり、その発光量はアスコルビン酸の濃度の増加に応じて増大することが確認された。このとき、最低冷却温度の異なる 2 種類の CCD カメラ (-30 度及び -60 度) を比較した結果、 より冷却能力が高い CCD カメラほど高い発光が得られ、より微量のアスコルビン酸でも検出することが可能であった。また、実試料応用のパイロット実験として、 にんじんの輪切り切片にルミノール及びメナジオンを添加後に生じる発光を撮影した。 その結果、にんじんの断面中で維管束と考えられる部分に沿うように輪状の発光が観察されるという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、キノンと抗酸化物質との反応により生じる化学発光を冷却 CCD カメラを用いて撮影することで抗酸化能の強さを画像として撮影可能であることが明らかとなった。96 ウェルマイクロプレートを用いた場合、最大で 96 個の試料の抗酸化能を一斉に測定可能であることから、迅速に多数の試料の抗酸化能を評価する手法として本法は適していると考えられる。また、実際ににんじんの輪切り切片より生じる発光を撮影した結果、維管束周辺部位において強い発光が観察されるという知見が得られた。この結果より、にんじんの維管束への抗酸化物質の集積が示唆され、本法が食品中の抗酸化物質の分布に関する情報を得る手段として有用であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに、マイクロプレートのウェルあるいは食品中に存在する抗酸化物質を化学発光画像として取得することに成功した。しかしながら現在の測定条件では、食品試料で十分な発光を得るために数十分から 1 時間程度の比較的長時間の撮影時間を要するという問題点が存在するほか、解像度についてもより一層改善する必要があると考えられた。そこで、化学発光試薬の種類や各試薬の濃度等について検討を行い、感度や解像度の改善及び測定時間の短縮を試みていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入を予定していた設備備品を想定額よりも安価に購入することができたため。 得られた研究成果をまとめた論文を投稿する際の英文校正費等としての使用を予定している。
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Research Products
(16 results)