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2014 Fiscal Year Research-status Report

緊急災害時の環境汚染に対する責任制度の研究-免責規定の適用に焦点を当てて-

Research Project

Project/Area Number 25870527
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

小林 寛  長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30533286)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords無過失責任 / 免責 / 災害時の環境汚染 / アメリカ環境法 / 不可抗力 / 戦争行為
Outline of Annual Research Achievements

平成26年10月に、小林寛(単著)「無過失責任における免責規定の適用要件に関する一考察―災害時の環境汚染を素材としたアメリカ法からの示唆―」早稲田法学会誌65巻1号249頁-302頁(2014年10月)を発表し、これまでの研究実績を公表した。さらに、前記論文において取り上げた事例を特に研究した判例研究である小林寛(単著)「アメリカ同時多発テロ事件(2001・9・11)において包括的環境対応補償責任法の下での戦争行為免責が認められた事例」を国際商事法務43巻2号217頁―222頁(2015年2月)において発表した。
福島第一原発事故やメキシコ湾原油流出事故といった災害時の環境汚染を素材として、平成25年度に行った原子力損害賠償法の下での免責規定のみならず、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、鉱業法、船舶油濁損害賠償保障法などに拡げて、包括的に、無過失責任の下での免責規定の適用要件を検討した。検討に当たっては、アメリカ合衆国における環境法(水質浄化法、油濁法、包括的環境対応補償責任法、原子力法)の下での免責規定の適用要件との比較法的考察も行った。その結果、アメリカ判例法の下では、免責規定(不可抗力、戦争行為、第三者の作為または不作為等)の適用は厳格に判断されていることを明らかにし、わが国においても、被害者の保護の見地から、その適用は、厳格かつ限定的になされなければならないことを指摘した。例えば、アメリカ法において、不可抗力は「例外的、不可避的および不可抗力的な性質を有する災害の結果を相当の注意または予見によっても防止または回避することができなかった」という要件を充足する必要がある。これを参考にすれば、わが国における免責規定の適用要件についても、免責事由に該当する事実についての予見不可能性および回避不可能性を挙げることができることを指摘した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

平成25年度の研究を踏まえて、早稲田法学会誌65巻1号に前記論文を発表することができた。大気汚染防止法、水質汚濁防止法、鉱業法、船舶油濁損害賠償保障法などに拡げて、包括的に、無過失責任の下での免責規定の適用要件を検討した。アメリカ法と同様、わが国においても、免責規定の適用は、被害者の保護の見地から、同様に厳格かつ限定的になされなければならないことを指摘した。
さらに、前記論文において取り上げた事例を特に研究した判例研究「アメリカ同時多発テロ事件(2001・9・11)において包括的環境対応補償責任法の下での戦争行為免責が認められた事例」を国際商事法務43巻2号217頁―222頁(2015年2月)において発表した。本研究の過程でこの事例を発見し、判例研究を発表したことによって、当初の計画以上に研究が進展した。

Strategy for Future Research Activity

平成27年10月開催予定の日本私法学会において、これまでの研究実績を報告する計画である。
免責規定の適用要件は厳格かつ限定的に判断されなければならないことを主張したが、「厳格かつ限定的」であることの意味内容について更に検討することとしたい。
アメリカ法を比較考察の対象としながら、「テロ行為と戦争行為免責」の論点について更なる検討を行うこととしたい。

Causes of Carryover

平成26年度中に、研究成果を研究論文(早稲田法学会誌65巻1号249頁以下)として発表し、学会・研究会における研究報告の機会を模索したが、平成26年度中に学会・研究会報告の機会を得ることが出来なかった。そのため次年度使用額が発生した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成27年10月に開催予定の日本私法学会における個別報告のための旅費・複写費等に充てる計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] アメリカ同時多発テロ事件(2001・9・11)において包括的環境対応補償責任法の下での戦争行為免責が認められた事例2015

    • Author(s)
      小林寛
    • Journal Title

      国際商事法務

      Volume: 43巻2号 Pages: 217-222

    • Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 無過失責任における免責規定の適用要件に関する一考察―災害時の環境汚染を素材としたアメリカ法からの示唆―2014

    • Author(s)
      小林寛
    • Journal Title

      早稲田法学会誌

      Volume: 65巻1号 Pages: 249-302

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Remarks] 早稲田大学 DSPACE

    • URL

      http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/44249

URL: 

Published: 2016-06-01  

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