2014 Fiscal Year Annual Research Report
イベントレコーダーによる高次捕食魚の摂餌生態の解明:高速運動解析からのアプローチ
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25870529
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河端 雄毅 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環シナ), 助教 (50606712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオロギング / 摂餌生態 / ハビタット / ハタ科 / 行動圏 / 捕食行動 / サンゴ礁 / 資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、イベントレコーダーと摂餌行動検出アルゴリズムを開発することで、長期に亘る高次捕食魚(ナミハタ)の摂餌生態を解明することである。研究期間内に次の4点を行うことを計画していた。①イベントレコーダーの開発、②摂餌行動検出アルゴリズムの開発、③野外での摂餌行動の計測、④摂餌行動と生息環境の関係性の解析。平成25年度に①と②を終了し、2014年1月より③を開始した。そのため、平成25年度は、③と④を実施した。 ③野外での摂餌行動の計測 ナミハタ成魚20尾の腹腔内に、開発したイベントレコーダーと超音波発信機(V9, Vemco社製)を装着し、捕獲地点に再放流した。釣り・スピアフィッシングにより20尾中9尾の再捕獲に成功した。イベントロガーの不良により1尾データが得られなかったため、8尾の摂餌行動データと20尾の詳細な位置情報を取得した。 ④摂餌行動と生息環境の関係性の解析 イベントレコーダーのデータから、昼間に比べて夜間によく摂餌行動を行うことが分かった。また、超音波発信機の受信パターンから、昼間にはサンゴ隗にて大きな移動を行わず、夜間には砂地に小さなサンゴパッチが散在する場所を動き回ることが明らかになった。また、昼間に同じサンゴ隗で休息する複数個体においては、夜間には異なる場所を利用することが明らかになった。一方、個体の夜間の利用海域は、実験期間(約2カ月)を通してほとんど変化しないことが明らかになった。以上から、ナミハタ成魚にとって、昼間の休息場としてサンゴ隗、夜間の摂餌場としての砂地とサンゴパッチが広がる生息場が重要であることが示唆された。また、保護区等により本種を保全する上では、昼間の狭い行動範囲・生息地(サンゴ隗)だけでなく、夜間の広い行動範囲・生息地を保護する必要があることが示唆された。
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