2013 Fiscal Year Research-status Report
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25870530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇野 直輝 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60624781)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MLPA / フラグメント解析 / ライゲーション / ヘリケース依存的増幅反応 / 肺炎球菌 / キノロン耐性遺伝子 |
Research Abstract |
オリゴヌクレオチドを鋳型としたパイロット実験は成功した。ライゲーション非依存的にHDA(helicase-dependent amplification)あるいはPCR単独でMLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)と同じプロダクトが得られることをフラグメント解析により実証した。この新しい核酸増幅反応を我々は当初MPA(multiplex probe amplification)と名付けたが、後述するようにマルチプレックス化が困難なことが判明したことから、LIPA(ligation-independent probe amplification)と呼ぶことにする。パイロット実験により目的のプロダクトを最大限増幅させる反応条件を決定し、細菌(肺炎球菌)のゲノムDNAを鋳型にした実験を行った。その結果、HDAは増幅条件が厳しく目的産物を増幅させることができなかったが、PCRでは成功した。一塩基変異を区別する特異性については、MLPAでもLIPAでも一塩基変異を区別する特異性を出すのは必ずしも容易ではないことがオリゴヌクレオチドを鋳型としたパイロット実験で判明した。我々は、PCR条件を厳しくすることで、肺炎球菌ゲノムDNAを鋳型にしたLIPAで一塩基を区別できる特性性を達成することができた。臨床検体からの肺炎球菌分離株はすべてシークエンスで一塩基変異を確認し、キノロン耐性についても微生物学的に確認した。マルチプレックス能力を検討した結果、2つの標的を一度に増幅することに成功したが、3つの標的を増幅させることが難しく、MLPAが50以上の標的を一度にアッセイすることができるのに比べると、マルチプレックス反応とは言えない結果となった。そのため、MLPAの代わりとしてではなく、迅速で簡単な方法として、従来MLPAが不適とされてきた微生物の同定に応用するなどの、独自のアプリケーションを発展させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論に矛盾せず、ハイブリダイゼーションとライゲーションを行わずに、MLPAと同じプロダクトが得られることを実証した。この新しい核酸増幅反応を用いて、臨床検体から分離された肺炎球菌を同定し、かつ、キノロン耐性の一塩基変異を同定することに成功した。目的に掲げた通り、迅速かつ簡便な方法であることを実証したが、マルチプレックスに乏しく、等温増幅反応はオリゴヌクレオチドに対してはワークしたが、ゲノムDNAでは成功しておらず、新しい等温核酸増幅反応として臨床検査へ応用できる段階に至っていない。これについては、ゲノムDNAを増幅させるHDA(helicase-dependent amplification)の条件検討が課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
MLPAのライゲーション非依存的経路は一般的に知られておらず、論文として報告する意義があることから、論文として公表する。また、我々が開発した新しい核酸増幅反応も論文として発表することで、この方法をさらに発展させる機会を与えることができる。次年度は、当初の計画通りヒトゲノムを対象にした応用を検討する予定である。しかしながら、これまでの結果でマルチプレックスと一塩基変異の区別が困難であることが判明したため、当初計画していた一塩基多型のマルチプレックス検出は予定しない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、論文の執筆を開始したために実験に費やす時間が相対的に少なくなったためである。 論文発表費用、物品の購入、学会参加費用などに充てる。
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