2015 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ナノ抗癌剤:葉酸修飾メチル化シクロデキストリン分子ネックレスの構築
Project/Area Number |
25870542
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
東 大志 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (20613409)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | シクロデキストリン / ポリ擬ロタキサン / ポリロタキサン / one-pot |
Outline of Annual Research Achievements |
シクロデキストリン (CyD) 誘導体の一つであるジメチル-CyD (DM-CyD) は、がん細胞の生体膜に作用し、抗腫瘍活性を示す。一方、1) 正常細胞にも殺細胞作用を示し、副作用を惹起する、2) 血中滞留性が低い、3) 腫瘍選択性が低い、などの問題点を有するため、DM-CyD を抗がん剤へ応用することは困難であった。本課題では、DM-CyD の上記問題点を克服するため、DM-CyD の超分子 (ポリロタキサン) を調製し、抗がん剤へ応用することを最終目的とし、DM-CyD ポリロタキサンの合成を行った。 これまで、DM-CyD は、ポリロタキサンの前駆物質であるポリ擬ロタキサンを形成しないとされてきたが (収率 0~1%)、今回、DM-CyD が加熱条件下で高収率 (60% 以上) にポリ擬ロタキサンを調製することに初めて成功した。これは、加熱条件下で、DM-CyD のメチル基間の疎水性相互作用が強固になり、また水酸基同士で水素結合を形成することに起因する。さらに、ポリ擬ロタキサンの両末端に嵩高い官能基を導入すると、DM-CyD がトラップされ、ポリロタキサンを得ることに成功した (収率 90%)。 本研究で得られた知見は、CyD 誘導体から直接ポリ擬ロタキサン・ポリロタキサンを調製することは困難であるという定説を覆すものであり、高収率かつ one-pot にポリロタキサン誘導体を合成する上で極めて有益である。とりわけ、水中かつ one-pot でポリロタキサン誘導体の調製を行った報告例は少なく、また、ポリロタキサンはバイオマテリアルやドラッグデリバリーシステムに広く応用されていることから、本研究成果は、医薬領域において有用性が非常に高い。
|
Research Products
(8 results)