2013 Fiscal Year Research-status Report
バリスティック伝導を用いた超高感度局所磁気センサーの開発と応用
Project/Area Number |
25870548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原 正大 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50392080)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁気センサー / バリステッィク伝導 / 二次元電子系 / グラフェン |
Research Abstract |
半導体二次元電子系のバリスティック伝導を利用した磁気センサーの高感度化を目的として研究を進めた。センサーの形状や検出する磁性体の位置による検出感度の変化をシミュレーションにより検討した。その結果、センサーを構成する十字構造の4端子のうち、向かい合う2端子を狭窄することにより、高感度化が実現できる事が分かった。また、磁性体をセンサーの中心付近に配置した場合が、シグナルの変化が最も大きくなる事も分かった。以上のシミュレーション結果を踏まえて、100ナノメートル程度のサイズを持つ磁性体(パーマロイ)の磁化変化を検出する実験を行った。4端子の幅が全て等しい従来の十字構造に比べて大きなシグナル変化が生じ、磁化状態の変化に対応した特徴的なシグナル変化を明瞭に観測することが出来た。この結果は、バリスティック伝導を利用した検出方法がセンサー形状を工夫する事により高感度化できることを示すものであり、今後のセンサー応用へ向けた指針を与えるものとなった。今後の展開として、最近急速に注目されている2次元材料であるグラフェンを利用することで劇的な高感度化が実現できると考えている。バリスティック伝導を実現するためには、h-BN基板上に乗せる必要があるなど、素子作製が複雑になるため、現時点ではまだ実験を行うところまで到達できていない。他研究者からの情報を集めながら、素子作製技術の向上を早急に行うことで、半導体二次元電子系からグラフェンへの転換が近いうちに実現できると見込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画に記載していた高感度化へ向けた素子構造の最適化に関しては、ほぼ目的を達成することができた。グラフェンを利用した実験に関しては、測定を行う段階までは到達できなかったが、着実に準備は進んできており、近いうちに実現できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目標に到達するためには、半導体二次元電子系からグラフェンへの転換が不可欠であり、当面の重点課題として取り組む予定である。また、開発したセンサーを利用した基礎物性解明やバイオマーカーへの応用も計画しているため、それらの研究も着実に進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に物品購入を予定していたが、他の予算で購入することができた。今年度前倒しを行ったため、次年度以降の予算がギリギリの状況になることが予想され、なるべく次年度に残すよう努力した。 前倒し請求により、次年度以降の物品費と旅費を減額したため、残額を充てることにより円滑に研究を遂行することができる。
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