2014 Fiscal Year Research-status Report
バリスティック伝導を用いた超高感度局所磁気センサーの開発と応用
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25870548
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原 正大 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50392080)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磁気センサー / バリスティック伝導 / 二次元電子系 / グラフェン / 酸化チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に半導体二次元電子系を用いた磁気センサーに関して、実験及びシミュレーションにより、センサーの高感度化を行う方法の検討を行った。今年度は、グラファイトの単原子層であるグラフェンを用いて、さらなる高感度化を行うための研究に取り掛かった。バリスティック伝導を用いた高感度化を実現するためには、グラフェンの高移動度化が不可欠である。六方晶窒化ホウ素(h-BN)との積層構造を作る事により、平均自由行程が数ミクロン程度になることが報告されているため、光学顕微鏡で観察しながら、グラフェンとh-BNシートを積層させる実験技術の確立を行った。シミュレーションにより、半導体二次元電子系をグラフェンに置き換えることで劇的な高感度化が実現できることも分かった。磁気センサーの応用の一つとして、酸化チタンに強磁性元素をドープしたナノシートの磁化検出を計画している。今年度は、予備実験として、放射光を用いた磁気円二色性(XMCD)測定によりMnをドープした酸化チタンナノシートの磁気的挙動を調べた。基板上に単層の状態で分散させたシートの磁化測定を行ったところ、室温でわずかに強磁性を示した。次にシート上に強磁性金属であるFe薄膜を蒸着する事により、MnとFeが反強磁性的に結合する様子が確認出来た。ナノシート1枚のキャリアを電界により制御するための試料作製にも着手しており、最終的には開発した磁気センサーを用いて磁化の変化を観測する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記載していたスピン流研究への応用に関しての進展はあまり無かったが、別の応用として記載していた電界制御による磁性ナノシートの研究に関して、当初の研究計画には無かった放射光施設を用いた磁化測定を予備実験として進めることができた。グラフェンを使ったセンサーの高感度化に関しても順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフェンを使った高感度磁気センサーの開発を着実に行っていく。また、その応用としてナノシートやナノ粒子等の高感度検出を行い、基礎物性解明やデバイス応用へつなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に物品購入を予定していたが、他の予算で購入することが出来た。前倒し請求により、当初予定より予算額が減っているので、なるべく次年度以降に残すように努力した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
グラフェン素子を作製するための備品購入費や国際会議での成果発表の旅費を予定している。
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