2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
兼田 加珠子 (中島 加珠子) 宮崎大学, 医学部, 助教 (00533209)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写因子 / 接着分子 / 白血病 |
Research Abstract |
我々は既にEVI1 が造血幹細胞維持に必須の遺伝子であることを突き止めている。その分子機構として、(1) EVI1 が幹細胞維持に必須の転写因子であるGATA2 を直接転写活性化し、(2) EVI1 高発現白血病細胞は幹細胞状の性質を有し、(3) ITGA6/B4は接着能亢進の原因分子であり、ITGA6/B4 に依存した抗がん剤耐性の高発現と接着能亢進の相関を考えている。さらに(4) ITGA6/B4 がLSC 分画でHSC 分画よりも遙かに高発現していることから、治療分子標的としての可能性を期待している。 そこで、①EVI1 によるITGA6/B4 の転写制御機構の解明、②EVI1 高発現白血病細胞におけるラミニン依存的な情報伝達経路とフィブロネクチン依存的な情報伝達経路との差異の同定、③ITGA6/B4発現と抗がん剤感受性との関係の解明、④細胞接着性と細胞周期との関連及びシグナル伝達経路の解明、そして、⑤EVI1 高発現白血病モデルマウスを用いた骨髄ニッチにおける接着能との関連の探索を実施した。 In vitroの検討において、ITGA6/B4がEVI1によって転写調節されており、EVI1高発現白血病細胞株の増殖、生存に重要であることが示された。次に、EVI1はITGA6/B4 高発現に依存した細胞接着能亢進に伴う抗がん剤耐性に対して、接着性の亢進及び抗がん剤抵抗性獲得にはITGA6/B4を介した結合が必要であることを確認した。さらに、そのシグナル伝達がITGA6/B4の中和抗体で遮断されうる事を明らかとした。また、in vivoの検討により、中和抗体により骨髄への浸潤が抑制され、抗がん剤効果が増強された事から、白血病幹細胞に対するITGA6/B4 を分子標的とした治療法の開発に繋がる基礎研究の有用性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の目標として、①EVI1 によるITGA6/B4 の転写制御機構の解明、②EVI1 高発現白血病細胞におけるラミニン依存的な情報伝達経路とフィブロネクチン依存的な情報伝達経路との差異の同定、③ITGA6/B4発現と抗がん剤感受性との関係の解明、④細胞接着性と細胞周期との関連及びシグナル伝達経路の解明、そして、⑤EVI1 高発現白血病モデルマウスを用いた骨髄ニッチにおける接着能との関連の探索を計画した。⑤を除き、概ね全ての項目に関する実験を実施した。また、⑤の実験実施に先立ち、疾患モデルマウスにおいて標的分子に対する中和抗体が一定の治療効果があることを示し、ITGA6/B4が白血病の生存に必須であることを示唆する結果を得た。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ITGA6/B4がEVI1によって転写調節されており、EVI1高発現白血病細胞株の増殖、生存に重要であることが明らかとなった。また、in vitroの検討に置いて、中和抗体による接着シグナルの遮断が認められた。さらに、ITGA6/B4に対する中和抗体は動物実験系において一定の治療効果を示し、治療効果として骨髄ニッチへの浸潤の抑制、抗がん剤効果の増強が認められた。今後作用機構の解明のみならず、治療抗体の開発も進めることを計画している。 H25年度に未実施である項目を中心に、研究の完了に向けて効率よく研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属施設において動物実験施設及び研究棟の改修工事が実施されていたため、実験規模を縮小しなければならなかった。そのため、使用額の減額が生じた。 所属施設の改修工事が終了次第、実験規模を戻して研究を進める。 消耗品と旅費の使用割合は今年度と同等とする。
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