2013 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子タイピングによる整形外科領域MRSA手術部位感染発症要因・感染対策の検討
Project/Area Number |
25870567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川村 英樹 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (90647596)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MRSA / 遺伝子タイピング / 手術部位感染 / 整形外科 / サーベイランス |
Research Abstract |
MRSAサーベイランス疫学情報と整形外科患者由来保存MRSA菌株の遺伝子タイピングを解析し、菌の伝播経路推定および感染対策効果を評価する目的で研究を開始した。 当院に保存されているMRSA菌株のうち2004年から2009年に検出された整形外科でのMRSA感染症発症者由来菌株(78菌株)および鼻腔保菌菌株(90菌株)計168菌株のパルスフィールド電気泳動法(PFGE法)やPCR法(SCCmec型、mec-HVR型、agr型)シーケンス法を用いた遺伝子タイピング(spa型)による解析を行った。また同時に2004年から2013年までの整形外科病棟での手指消毒薬や抗菌薬の使用量、実施された手術で使用された予防抗菌薬の種類と日数について解析を行った。 これまでの解析で感染症発症者からはいわゆる院内感染株とよばれるSCCmec II型が、鼻腔保菌株からはSCCmec IV型がそれぞれ有意株として検出され、統計学的な有意差を認めること、また手指消毒薬使用量と手術時に使用される第1世代セフェム系抗菌薬の使用量とMRSAの新規感染率には有意な負の相関を認め、一方MRSAの術前保菌や術後感染予防抗菌薬の使用時間が48時間を超える場合はMRSA新規感染発生のリスクとなることが分かった。 今後2010年から2013年の菌株遺伝子タイピングを実施するとともに、これまでの菌株の相同性解析を行い、同一遺伝子菌株の分離患者での共通要因を検索しMRSAの病院内での伝播リスクを解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遺伝子タイピングの実施は2004年から2009年までの6年分の分離菌株で実施したものの、2010年から2013年までの3年が研究時間の不足によりまだ未実施となっている。またPFGE法の電気泳動までは実施できたものの、専用ソフトを用いた相同性の解析ができておらず、同一菌株による伝播イベント発生の評価が不十分となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究時間を確保し残り保存菌株の遺伝子解析をすすめると同時に、PFGE法の相同性解析を実施している他施設へも相談のうえ、専用ソフトによる解析を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究時間確保の問題から一部菌株の遺伝子タイピングなどの研究に遅れが生じ、実験材料などの物品購入費に余剰が生じた。 菌株の遺伝子タイピングを継続し、必要な材料を購入するために使用する予定である。
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