2014 Fiscal Year Research-status Report
細根特性に着目した、熱帯林構成樹種の土壌環境に対する適応メカニズムの解明
Project/Area Number |
25870569
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鵜川 信 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30582738)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 熱帯林 / 共存機構 / 土壌環境 / 細根特性 / Macaranga属 / Shorea属 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯林の構成樹種の共存機構を知るためには、各樹種の土壌環境への適応メカニズムを明らかにする必要がある。そこで、本研究では、細根特性の視点から、熱帯林構成樹種の土壌環境への適応メカニズムを明らかにするたことを目的とした。パソ森林保護区において、Macaranga属6種120個体、Shorea属9種217個体を選定し、2013年度に、各個体の位置およびサイズを記録した。また、これらの個体について、2014年度に、サイズを記録し、年間の成長量を計算するとともに、個体周辺の環境因子(林冠の光量、土壌水分量、土壌窒素無機化速度)を測定した。その結果、Macaranga属6種は、様々な光環境に適応して分化しており、M. hosei、M. gigantea、M. conifera、M. hypoleuca、M. recurvata、M. lowiiの順に光要求度が高いことが示唆された。また、Shorea属9種も、Macaranga属ほどではないが、比較的広い光環境に適応して分化していることが示された。つまり、S. leprosula、S. lepidota、S. parvifolia、S. acuminata、S. ovalis、S. macroptera、S. maxwelliana、S. multiflora、S. paucifloraの順に光要求度が高かった。一方、土壌水分量については、湿地で生育するM.recurvataが高い土壌水分量の立地で生育する一方、他のMacaranga属およびShorea属の樹種では、立地の土壌水分量の差はほとんどみられなかった。今後、対象樹種の細根特性の調査を行い、各樹種の適応した環境条件と細根特性の関係を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査はほぼ計画通りに進んだ。また、遅れていた苗畑実験については、平成26年度に苗木を入手し、すでに実験を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
野外調査はほとんどのデータを収集したが、細根のデータのみが一部収集できていない。また、苗畑の実験はすでにスタートしている。これら残りのデータ収集およびその解析を行い、最終年度(2015年度)に本研究の成果を取りまとめる。
|
Causes of Carryover |
マレーシア政府の研究機関(FRIM:マレーシア森林研究所)を通して苗木を購入したが、当該研究機関からの請求が年度を跨いだため、これらの代金分が繰り越しとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
マレーシア政府の研究機関(FRIM:マレーシア森林研究所)から苗木購入費の請求書が届き次第、大学事務を通して支払いを行う。この支払により、繰り越し分の経費を使用する。
|