2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870579
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
八木 恭子 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80451847)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融工学 / 債券の優先劣後構造 / リアルオプション / 資本構成 / 最適戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
不確実な状況下での意思決定における評価・分析法であるリアルオプション評価法を用いて,株式と優先劣後構造をもつ普通社債と転換社債を発行することで資金調達をする企業の投資評価モデルを提案した.普通社債と転換社債の優先劣後構造が企業のデフォルトや転換社債の転換,投資のタイミングに与える影響を解析的だけでなく,数値的アプローチからも解を求め,分析を行った.投資後の株式価値,普通社債の価値,転換社債の価値,倒産の閾値,転換の閾値,投資の閾値,投資の価値を求めることで,優先劣後構造は投資を早め,転換社債の価値と投資の価値を減少させるにも関わらず,倒産や投資の閾値には影響を与えないことを示した.この研究成果は,INFORMS Annual Meeting 2014(11月・サンフランシスコ)で報告を行い,京都大学数理解析研究所講究録において論文をまとめた. また,投資評価モデルの応用として,企業間の証券持ち合いを考慮した倒産に関する分析にも取り組んだ.2つの企業間で株式や債券の持ち合いを行う際の最適な倒産境界を導出することで,倒産確率を分析した.ある企業が他社の株式や債券を保有することで,他社の株式価値の上昇や下落が自社の株式価値にどのような影響を与えるかを調べ,株式価値を最大にする倒産戦略を取る企業の倒産境界を導出した.特に,債券のみの持ち合いの場合において,解析的な倒産境界を導出し,両者の相関関係や株式や債券の保有割合に対して,倒産確率を数値的に分析した.この研究成果は,オペレーションズリサーチ学会北海道支部・サマースクール2014(8月・知床)や平成26年度数理解析研究所研究集会「ファイナンスの数理解析とその応用」(11月・京都)で報告を行い,京都大学数理解析研究所講究録において論文をまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資本構成に関する投資評価モデルの構築については,順調に遂行しているといえる.今年度は経営者報酬の考慮ができてはいないが,それ以外のさまざまな分析から多くの知見が得られており,おおむね研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は投資評価モデルの応用として,債券持ち合いする企業の倒産確率だけでなく,債務の再交渉に関する分析を行う予定である.債務の再交渉の分析は,債券持ち合いにおおいなる影響を与える可能性があり,非常に重要なことであると考えられる.
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