2013 Fiscal Year Research-status Report
新型イムノトキシンの開発と特定神経回路機能制御による霊長類高次脳機能の解明
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25870581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊原 寛一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90551523)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イムノトキシン / 神経回路 / 脳機能 / 霊長類モデル |
Research Abstract |
1. mIL-2Rα配列のクローニング (1) ハイブリドーマの選抜:mIL-2Rαに特異的に結合するイムノトキシンを作るために、mIL-2Rαに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ4種類のうちから3種類を選抜した。(2) 可変部位をコードする塩基配列のクローニング:イムノトキシンのN末端側は、モノクローナル抗体の重鎖、軽鎖それぞれの可変部位が一本鎖で結合した形となっている。そこで、ハイブリドーマからmRNAを抽出し、5’RACE法により5’末端を含むcDNAを合成した。合成したcDNAを鋳型として可変部位をコードしている5’末端をクローニングし、PCRを用いてクローニングした重鎖と軽鎖をリンカー配列にて結合した。シークエンスを確認し、制限酵素での切り出しにより、緑膿菌体外毒素をコードする配列を含むタンパク質発現ベクターへ組み込んだ。(3) 大腸菌でのタンパク質発現・精製:大腸菌株 BL21(DE3)pLysSに上記の実験にて組み換えたタンパク質発現ベクターを導入し、IPTGにて発現誘導、不溶性の封入体としてイムノトキシンを得た。その結果、最も発現量の多かったクローン1についてグアニジン塩酸塩にて可溶化させ、希釈法にてリフォールディング、イオン交換カラムによる精製・濃縮を行った。 2. 新型イムノトキシンの検定 (1) mIL-2Rαへの特異性の確認:ELISAにより、マイクロプレートに吸着させた可溶性IL-2Rα(マウス及びヒト)に対して精製したイムノトキシンを結合させ、mIL-2Rαに対して特異性を持つか確認した。しかしながらクローン1はmIL-2Rαに対する特異性が低かったため、in vivoでの実用性に乏しいことが分かった。現在、次に発現量が多かったクローン2について検討を行っているが、このクローンは発現量が多くないため、コールドショックによる発現系に切り替えて検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mIL-2Rαに特異的に結合するイムノトキシンを作るために、mIL-2Rαに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから可変部位をコードする塩基配列をクローニングした。3種類のハイブリドーマからクローニングした配列をそれぞれ大腸菌発現用ベクターに組み込んで発現確認を行ったが、クローン1はかなりの発現量を示したものの、クローン2はわずかにしか発現せず、クローン3についてはほとんど発現しなかった。 最も発現したクローン1はイムノトキシンとしての活性や特異性が低かったため、次にクローン2をターゲットとした。現在、発現量を上げるために、低温での発現系であるコールドショックシステムを用いて条件検討を行っており、そのために当初の計画より遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な計画については当初の予定通りである。タンパク質の発現量を上げるために、上記のようにコールドショックシステムに切り替え、また可溶性を上げるためにGSTを付加して発現するように設計したり、フォールディングを助けるシャペロンタンパク質を共発現させることを予定している。 もしそれでもタンパク発現量が上がらない場合は、バキュロウイルスを用いた昆虫細胞での発現系を導入することも視野に入れている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初はmIL-2Rαに対して特異性の高いイムノトキシンの精製・取得及びmIL-2Rαを発現するウイルスベクターの開発までを行う予定であった。しかしながら当初の予定から遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額に関しては、初年度で完了できなかったイムノトキシンの取得、及びmIL-2Rα発現ウイルスベクターの開発に使用する予定である。
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