2014 Fiscal Year Research-status Report
新型イムノトキシンの開発と特定神経回路機能制御による霊長類高次脳機能の解明
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25870581
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
伊原 寛一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90551523)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イムノトキシン / 神経回路 / 脳機能 / 霊長類モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 新型イムノトキシンの検定 (1) 発現条件の検討:ハイブリドーマから可変領域をクローニングした3クローンのうち、37℃での発現がほとんどなかった残りの2クローンについて検討を行った。発現誘導時の温度を下げると発現量が改善されることがあることから、温度条件を変えて検討を行った。しかしながら、温度条件の検討では高い発現を得ることができなかった。(2) 低温発現系での検討:そこでコールドショックによる低温発現ベクターに組み替え、条件検討を行った。その結果、クローン2ではほとんど改善されなかったものの、クローン3においては高いタンパク発現を得ることができた。(3) 結合特異性の確認:クローン3から得られたイムノトキシンについて、ELISA法によりマイクロプレートに吸着させた可溶性IL-2Rα(マウス及びヒト)に対して結合させ、その特異性を確認した。しかしながら、クローン3のIL-2Rαへの結合能はヒトのものと相違がなく、マウスIL-2Rαに対する結合特異性が低いことが判明した。 2. アミノ酸配列の補正 (1) アミノ酸配列の補正:クローン2・3の予想されるmRNAの立体構造の安定性を上げてタンパク収量を増加させる目的で、発現ベクターの配列の一部を組み替えた。(2) 改良ベクターの発現確認:配列を補正したクローン2・3について、発現確認を行った。その結果、どちらも通常の培養温度で高い発現量を得ることができた。(3) 結合特異性の確認:得られたイムノトキシンについて、マウスIL-2Rαへの結合特異性を確認した。しかしながら、どちらのクローンもマウスIL-2Rαへの高い結合特異性は得ることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. クローン2・3について、通常の温度条件では高い発現量を得ることができなかった。そこで様々な温度で検討を行い、そのために時間を要した。 2. 温度条件での検討では高い発現を得ることができなかったため、低温発現系用のベクターへと組み直して検討を行った。クローン3については高い収量を得ることができたが、クローン2についてはさらに様々な条件を試したものの、高い発現量を得ることができなかった。クローン2は3つのクローンの中で唯一、経験的に有用性が高いとされるサブクラスIgG1であり、優先的に確認したかったため、タンパクを得るためにかなりの時間を費やした。 3. これらの検討によっても高い結合特異性が得られなかったため、立体構造の変換に着手した。新たに発現ベクターを組み替え、発現確認及び結合特異性の確認を行い、これにも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 別なハイブリドーマを入手し、これらから抗体可変部位をクローニングして新たにイムノトキシンを作り直す。 2. 抗原タンパク質であるマウスIL-2Rαを免疫して独自にハイブリドーマを作製、これからイムノトキシンを調製する。 3. IL-2Rα以外のタンパク質(かつそれに対する抗体が市販されているもの)を免疫してハイブリドーマを作製、これからイムノトキシンを調製する。
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Causes of Carryover |
当初はマウスIL-2Rαに対して高い特異性を示すイムノトキシンを取得し、それを高純度で精製する予定であった。また、マウスIL-2Rαを発現させるウイルスベクターも開発・作製する予定であった。しかしながら当初の予定から遅れが生じたため、次年度使用額生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度では完了できなかったイムノトキシンの取得、及びマウスIL-2Rαを発現するウイルスベクターの開発・作製に用いる予定である。
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