2013 Fiscal Year Research-status Report
巡礼の「聖年」に関する宗教民俗学的研究―四国遍路と高野山の開創1200年
Project/Area Number |
25870588
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
浅川 泰宏 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90513200)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 巡礼 / 遍路 / 聖年 / ツーリズム / 民俗宗教 |
Research Abstract |
巡礼はツーリズムや地域振興などに文化資源としてたびたび活用される。本研究はこうした現代的な状況を「聖年(memorial year)」という切り口で、記念碑的に創出される大規模な祝祭状況に注目して考察する。弘法大師にまつわる、A.四国遍路(2014年に開創1200年)、B.高野山(2015年に開創1200年)の2ヵ所の巡礼を事例に、(1)巡礼の歴史や起源に関する公式的な説明、(2)「聖年」に向けて醸成される共時的感覚、(3)四国遍路と高野山の連携や融合状況、の3点を、宗教、行政、ツーリズム、そして巡礼者に対する文化人類学的手法による現地調査を通じて、多角的に記述し、考察することを目的とする。 本年度は特に、1)四国霊場開創1200年記念事業の整理と調査、2)関連事例の調査と検討を実施した。1)については、5月に「四国八十八ヶ所めぐり お砂踏み in 仙台空港」の参与観察を行ったほか、霊場会から11月に発表された各寺院の記念事業日程を整理し、3月に御開帳などを実施した寺院を中心に、34ヵ寺の現地調査を行った。日本宗教民俗学会のフィールドワークに参加して、足摺岬の金剛福寺など高知県西南部の札所の歴史的経緯について考察を深めた。さらに3月下旬に、歩き遍路の象徴的区間のひとつである、第11番藤井寺から第12番焼山寺を経て、第13番大日寺に至る歩き遍路の参与観察を行い、「聖年」において醸成される共時的感覚の考察を行った。2)については、伊勢神宮、出雲大社、山寺(立石寺)、善光寺など、平成25年中に実施された遷宮や(出)開帳を調査し、「聖年」概念の再考につなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画について、若干の変更があったものの、調査は順調に進捗し、データも蓄積できているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
四国霊場の開創1200年記念事業は、当初想定したよりも各寺院のバリエーションが多彩であることがわかった。調査日程を工夫し、できるだけ、多くの事例を調査できるよう努める。また別格20霊場や小豆島の島四国も、2014年に開創1200年を迎えることを標榜しているため、必要に応じてこれらの霊場の調査も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
複写費・通信費が、当初の想定を下回ったこと。調査計画の変更によって、旅費に余剰が生じたことによる。 各寺院の開創1200年記念事業を丹念に調査するほか、別格20霊場の開創1200年記念イベントの調査を加え、より多角的に調査を進める。
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Research Products
(1 results)