2017 Fiscal Year Research-status Report
二つの帝国と黒人教育:南アフリカにおける米国南部黒人学校の移植に関する社会史研究
Project/Area Number |
25870602
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
荒木 和華子 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (90581778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会史 / 帝国主義 / 黒人教育 / 米国南部 / ペン学校 / 南アフリカ共和国 / 農村部におけるモデル学校 / ポストコロニアル研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国(米国)発の黒人教育が、大西洋を横断し「移植」される歴史的背景と教育実践の意味を、国家、財団等の教育支援組織、教師や生徒・コミュニティ等の複数のアクターの関係性に着目して、明らかにすることである。具体的には、大英帝国が衰退し始め、米国が本格的に帝国主義化する20世紀前半において、米国内ならびに南アフリカの特に農村部において黒人教育のモデルとして参照された「ペン学校」を事例として、ポストコロニアル的な視点を用いた社会史研究を行っている。初年度には、既存の層の厚いアフリカ研究、帝国主義研究、ポストコロニアル研究、ジェンダー・人種・教育研究から多くを学ぶために、幅広い関連文献の収集、出張、資料調査、学会への出席、国内外からの研究者の招聘を行い、理論的な枠組みと人的ネットワークの構築をはかった。その後、26,27年度は育児休業等の取得により研究を中断し、28年度に復帰して研究を再開した。28、29年度には収集した史資料の分析に加え、教育の比較・交流関係の先行研究やポストコロニアル研究の文献を入手し、内容の検討を行った。また資料調査として、外交史料館、国連大学、一橋大学、普連土学園、ジェトロ(アジア経済研究所図書館)を訪れ、一部機関では複数の専門家による助言をいただいた。さらに29年度には、収集した資料のうち、新聞関係のタイトルのデータベース化をはかった。現在これらの史資料の読み込み、分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
29年度は本研究で収集した史料(特に新聞等)のタイトルのデータベース化を行い、資料調査のための出張、文献の読み込み等を行ったが、年度後半に家族(子ども2人)が同時に骨折して看護が必要になったことと、教職再課程認定において新たな科目担当者となり文科省提出のための書類作成に時間がかかったことから、この研究を次年度もう一年延長申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は本研究の最終年度にあたるので、過去数年間の研究内容をとりまとめるとともに、引き続き、米国の教育をアフリカ諸国に導入したジーンズ教師訓練プログラム等に関する一次史料を収集、分析した上で、内容を論文の形でまとめて発表する。また、米国南部と南アフリカにおける地方・農村部の教育制度や黒人の教育実践の歴史について内容を具体的に検証することによって、米国南部黒人学校の南アフリカにおける「移植」に関する本研究が設定した問いへの回答を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由) 当該年度は研究の総括にあたったが、年度後半に家族(子ども2人)が同時に骨折し看護が必要になったことと、教職再課程認定において新たな科目担当者となり文科省提出のための書類作成に時間がかかったことから、次年度にこの研究を延長申請した。 (使用計画) 海外の史資料の調査(ジーンズプログラム等の黒人学校の教育支援組織等)のための費用にあてたいと考えている。
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