2018 Fiscal Year Annual Research Report
Two Empires and Black Education: New Social History on Implanting U.S. Southern Black Schools in South Africa
Project/Area Number |
25870602
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
荒木 和華子 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (90581778)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ペン学校 / 黒人教育 / 帝国主義と教育 / アメリカ南部黒人学校 / 社会史研究 / 人種 / ジェンダー / 南アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀半ば以降の米国南部において黒人教育のモデルとされた元奴隷のための学校「ペン学校」の展開と、南アフリカへの「移植」の意味を、「帝国主義と教育」に関する研究課題として考察するものである。研究目的は、アメリカ合衆国の南部黒人教育が大西洋を横断する歴史的背景と教育実践の意味を、教育をとりまく複数のアクターの関係性に着目して検証することである。その際には、大英帝国が衰退し米国が帝国主義化し世界に台頭し始める20世紀前半という時代的状況を考慮しながら、2つの帝国主義の狭間で黒人教育が担った役割を検討する必要があった。米国内ならびに南アフリカにおいて、黒人教育のモデルとして参照されたペン学校を事例とした社会史研究という方法を用いた。研究の序盤では、ペン学校を支えた思想を当時の奴隷解放の立場をとる機関紙等の検証を行うと同時に、南アフリカ史、アフリカ諸国における教育史、人種・ジェンダーをめぐる帝国主義研究などの読み込みを行った。中盤では日本における資料調査として、国連大学図書館、外交史料館、一橋大学図書館書庫での史料調査に加え、東京の普連土学園やアフリカの教育関係の資料収集のためにジェトロ等を訪問し、この間捕獲した史資料のタイトルのデータ化をはかった。当該年度は研究の総括にあたり、2つの成果をあげることができた。一つ目は国際地域研究論集への投稿論文において、教養教育から実業教育への転換について教育思想・内容、言説、社会背景を明らかにした上で、南アフリカにおける米国黒人教育の意味を考察した。2つ目の成果は、12月に2日間にわたって行われた教育研究交流セミナー「〈教育と社会〉を研究する――多様性と移動の視点から」を開催した。セミナーを主催し、「米国南部黒人教育モデルの移動」に関する研究報告を行った。その後、当セミナーの報告書を発行し、その中でさらに論考を発表することができた。
|
Research Products
(4 results)