2013 Fiscal Year Research-status Report
地熱開発における手続統合型SEAによる合意形成モデル構築-国際先行事例調査から-
Project/Area Number |
25870612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
柴田 裕希 東邦大学, 理学部, 講師 (40583034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境影響評価 / 戦略的環境アセスメント / 地熱発電 / 地熱開発事業 / リスクコミュニケーション / 合意形成 |
Research Abstract |
本研究は欧米の先行事例の政策ツールを調査し、地熱開発のプロセスと統合された「手続統合型SEA」を用いて地熱開発において社会的合意形成に基づいた効率的な開発と持続可能な資源利用のための政策ツールのモデル開発を目指すものである。平成25年度は、欧米先進事例の手続統合型SEAの公衆参加手法とリスクコミュニケーションの成立条件を把握することを目的に、海外調査を実施した。この調査では、「手続統合の仕組みと法制度」、「影響項目と予測・評価手法」、「参加手法と情報交流の実態」の3つを分析項目として設定し、その運用結果における効果と課題を把握する調査であった。この分析では、単なる事例中の制度や予測評価手法だけでなく、それらの手法を可能にする各役割主体の運営資源(物的、人的、資金的)や技術レベル、リスクコミュニケーションを可能にする制度的・文化的背景を重視する。これは、我が国の社会状況や政策制度で実施可能な、手続統合型SEAの公衆参加手法を構築する基礎となる。海外調査は、スイスにおいて展開し、バーゼル市郊外のEGS発電開発とザンクト・ガレン市におけるEGS開発事例調査を実施した。また、調査過程では、両事例の事業主体である機関、自治体にヒアリングを実施するとともに、チューリッヒ工科大学(ETHZ)の地熱発電誘発地震のリスク評価研究室と合同のセミナーを実施し、加えて現地の地下開発リスク管理会社(リスコダイアローグ)からの情報提供を受けた。その結果、両事例ともに開発過程の掘削行程において誘発地震を経験し、いずれも一般市民に被害が出る有感地震であったが、地震発生後の開発事業に対する周辺住民の受容性には大きな差異が認められた。そして、その差異の要因として、事業主体の情報提供の方法の違いが指摘された。具体的には、開発着手前のリスクコミュニケーションの内容の具体性が受容性向上に寄与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて、海外先進事例における開発手法の調査を実施し、概ね予定していた事例の知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を基本とし、手続き統合型のアセスメントの適用方法を提案できるよう、研究を進める。研究計画とことなる点としては、平成26年度においては、前年度に実施した調査等により得られた情報を基に、ニュージーランドにおける海外調査の実施を予定している点である。これは、ニュージーランドの事例は、SEAの運用が確認されており、我が国への応用可能性も高いと考えられるからである。前年度のスイス調査で得られた知見と合わせることで、より確かな先進事例の知見とすることができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属機関の変更に伴い、一部の研究備品に関しては研究環境が変化し購入予定の計算機等が利用できる環境になったため購入を取りやめたほか、一部消耗品に関しては次年度以降の研究の進捗をもって購入を判断することとしたため。 初年度の海外先進事例調査に加えて、平成26年度にニュージランドでの現地調査を実施する予定を進めており、この現地調査費用として次年度使用額の一部を用いる計画である、また、平成26年度以降に購入の判断を見送った消耗品の購入に当てる計画である。
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Research Products
(1 results)